日本大百科全書(ニッポニカ) 「内田義彦」の意味・わかりやすい解説
内田義彦
うちだよしひこ
(1913―1989)
経済学者。大正2年2月25日、名古屋市熱田(あつた)に生まれる。甲南高校を経て1939年(昭和14)東京帝国大学経済学部卒業。同大学大学院に学び、東亜研究所員、東大経済学部世界経済研究員を歴任したのち、46年10月から83年3月まで専修大学教授としておもに経済学史を担当。業績は、『経済学の生誕』(1953/増補1962)、『経済学史講義』(1966)、『日本資本主義の思想像』(1967)、『社会認識の歩み』(1971)、『学問への散策』(1974)、『作品としての社会科学』(1981)など、マルクス研究、スミス研究、近代日本経済思想史、社会科学方法論に及ぶ。その「超主題」は、日本資本主義の非「純正」性、「30年代の人民戦線形成期から始まってくるいわゆる社会主義内部での市民という問題、あるいはいろいろの社会形態をくぐり抜けて貫徹する市民社会の成長」の究明、「アダム・スミス問題」「スミスとマルクス問題」「カール・マルクス問題」の解明による、「人間的な社会主義」の構築である。
[宮崎犀一]