内鞘(読み)ナイショウ

デジタル大辞泉 「内鞘」の意味・読み・例文・類語

ない‐しょう〔‐セウ〕【内×鞘】

高等植物の茎または根の内皮のすぐ内側にあって、維管束を囲む柔組織細胞層。根ではこれが分裂して側根を形成する。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「内鞘」の意味・読み・例文・類語

ない‐しょう ‥セウ【内鞘】

〘名〙 高等植物の茎および根において、内皮のすぐ内側にあって維管束を包囲する柔組織の細胞層。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「内鞘」の意味・わかりやすい解説

内鞘
ないしょう

植物器官上の用語。中心柱の基本組織のうち、内皮(ないひ)と維管束組織との間にあって、環状に分布し、中心柱の最外層をなす部分をいう。種子植物の茎ではほとんど内皮が認められないため、本来の意味での中心柱の境界を定められず、したがって内鞘も指摘できない。しかし、こうした場合でも中心柱を想定し、篩部(しぶ)の最外部を内鞘とすることがある。裸子植物の根の内鞘はほとんどが数層であり、被子植物の多くは一層である。これらの植物の場合、側根は、この内鞘の柔組織の細胞が分裂を再開して増殖し、根端分裂組織を構成しながら、元の根を突き抜けて成長するという内生的起源によって生じる。なお、シダ植物における側根は内皮起源である。二次肥大する根では、形成層の一部は内鞘から生じ、またコルク形成層も内皮起源であることが多い。

[西野栄正]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android