凌ず(読み)リョウズ

デジタル大辞泉 「凌ず」の意味・読み・例文・類語

りょう・ず【×凌ず/陵ず】

[動サ変]ひどい目にあわせる。責めさいなむ。
「恐ろしげなる鬼どもの、我身をとりどりに打ち―・じつるに」〈宇治拾遺・一五〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「凌ず」の意味・読み・例文・類語

りょう‐・ず【凌・陵】

  1. 〘 他動詞 サ行変 〙 ひどいめにあわせる。いじめる。責めさいなむ。また、拷問する。
    1. [初出の実例]「僧二人、この尼をみてにくみて云く、汝はこれ外道なり、といひてわらひそしり、なやましれうする時に」(出典:観智院本三宝絵(984)中)
    2. 「このをのこ罪しれうぜられば、我はいかであれと」(出典:更級日記(1059頃))

凌ずの語誌

( 1 )漢語「凌」「陵」に動詞「す」が付いて成立した漢語サ変動詞。
( 2 )挙例の「観智院本三宝絵」「更級日記」に見られる「れうず」は、平仮名文献における一種の仮名遣いで、[rjoː]の拗長音を「れう」と仮名二字で表記したもの。
( 3 )字音の「興(きょう)」「承(しょう)」「凌(りょう)」などと、「教(けう)」「少(せう)」「了(れう)」などとは全く別の音であったが、院政期初め頃から[kjou>kjoː][keu>kjoː]のような拗長音化の結果、発音が同じになった。平仮名文献ではそれを二字で「けう」「せう」「れう」と表記したにすぎず、この仮名遣いから語源を考えるのは不適当。なお、片仮名表記では、本来の「キヨウ」「シヨウ」「リヨウ」が圧倒的に多く見られる。

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