出光興産(株)(読み)いでみつこうさん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「出光興産(株)」の意味・わかりやすい解説

出光興産(株)
いでみつこうさん

大手石油精製・販売会社。1996年(平成8)に、売上高が2兆円を超えた。1911年(明治44)出光佐三が福岡県門司(もじ)に個人商店出光商会をおこし、石油販売業を開業したのに始まる。人間尊重の経営理念に基づく大家族主義や、問屋などの中間搾取を排除する直販方式などの独特の経営方針を掲げて、商域を国内だけでなく中国大陸にまで拡張した。1940年(昭和15)中華民国および満州(中国東北部)の業務を別会社に分割し、国内の営業財産を継承して出光興産を設立。第二次世界大戦後は多くの同業他社が外資との提携を強めるなかで、民族系石油会社の中心的存在として成長。1949年(昭和24)に元売り会社に指定されたのち、1957年には山口県徳山製油所を建設して石油精製業にも進出した。国有化問題でイギリスと係争中であったイランからの石油の大量輸入、ソ連原油の輸入、自社運航方式に基づく一連のマンモスタンカーの建造石油連盟からの脱退、新潟県阿賀(あが)沖での日本初の本格的海底油田・ガス田の開発など、独特の経営行動を展開し、社会的な注目を集めた。

[橘川武郎]

 2019年(平成31)4月、昭和シェル石油と経営統合。商号は出光興産で、トレードネームを出光昭和シェルとする。統合時の資本金は1684億円、売上高6兆9000億円。北海道愛知四日市三重県)などの5つの製油所をもつ。

[編集部]

『出光興産株式会社編・刊『出光五十年史』(1970)』

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