分離壁(読み)ブンリヘキ

デジタル大辞泉 「分離壁」の意味・読み・例文・類語

ぶんり‐へき【分離壁】

一つの場所や空間を仕切って二つの区域に分ける壁。
イスラエルヨルダン川西岸地区との境界建設している壁。総延長710キロメートル。フェンス鉄条網・コンクリート壁などで築かれ、2017年時点では約460キロメートルが完成している。
[補説]2について、イスラエルは建設の理由を治安確保のためとし、「防護フェンス」と呼んでいるが、その大半は停戦ラインよりもパレスチナ側に設けられ、パレスチナ人の土地を奪い、生活圏を分断し、行動の自由を制限している実態がある。2004年に国際司法裁判所がパレスチナの自治を阻害しているとして壁の撤去を勧告したが、その後も建設は続けられた。建設反対派からは「隔離壁」「アパルトヘイト・ウォール」とも呼ばれている。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

知恵蔵 「分離壁」の解説

分離壁

2002年イスラエル政府はヨルダン川西岸地区に高さ8m、全長700km近い「テロ対策用防護フェンス」の建設を開始した。総工費は10億ドルを超えると予想されている。表面上はテロ対策用だが、実質は占領地の一部を併合する形で建設されている。04年8月初旬段階の計画によれば、完成時にはヨルダン川西岸地区のユダヤ人入植者の8割が壁によって取り込まれる。04年7月にハーグの国際司法裁判所が、占領地での壁の建設は違法との判断を下した。拘束力はないものの、イスラエルとその支持者である米国の国際的な孤立浮き彫りにした判決であった。

(高橋和夫 放送大学助教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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