判紙(読み)はんし

精選版 日本国語大辞典 「判紙」の意味・読み・例文・類語

はん‐し【判紙】

〘名〙 花押をおした白紙本人遠方に滞在中、または文字読み書きができないなど、特殊な事情下にあるとき、第三者が本人に代わって文書を発給するのに用いられた。おそらく花押は輪郭だけをかたどった判型を押してあり、当の第三者がその内側を塗りつぶして用いたものと思われる。
※細川両家記(1573)「常に判紙を拾枚廿枚、宗好に渡し置れ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の判紙の言及

【手紙】より

…また自署はおのずから礼にかなったこととされる。自署が要求された結果,近世初期には,必要を予測して紙面のあるべき位置に花押のみを記した〈判紙(はんし)〉が,本人不在の所にも厳重に保管され,儀礼的な急場には用いられた。日時の明記については,戦国時代以降,遠距離から変転する事件を通報するについて,連続的・一方的に発した通信に対し,対応する返信もまた連続するので,使者,飛脚により途中前後する場合もまれではない。…

※「判紙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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