利胆剤。胆道疾患によって胆汁の排出が阻害された場合に胆汁の分泌または排出を促進する薬物をいう。利胆剤には、胆汁をつくる肝細胞に直接作用して胆汁分泌を亢進(こうしん)させる催胆剤と、胆嚢(たんのう)や十二指腸開口部のオッディOddi括約筋に作用して胆汁の排出を促進させる排胆剤とがある。
[幸保文治]
水分の多い粘稠(ねんちゅう)度の低い胆汁を分泌させる水催胆剤(胆汁量増加剤)と濃厚催胆剤(胆汁成分分泌促進剤)とがある。水催胆剤にはデヒドロコール酸、オサルミド、フロランチロン、濃厚催胆剤にはウルソデスオキシコール酸、トカンフィル、フェニルプロパノール、シクロブチロール、アネトールトリチオン、サイナリンがある。
[幸保文治]
胆嚢の収縮を促進する胆嚢収縮剤と、オッディ括約筋の弛緩(しかん)を引き起こして排出を促進する非胆嚢収縮性排胆剤がある。前者には卵黄製剤、オリーブ油、セオスリン、コレシストキニン、後者には硫酸マグネシウム液、フロプロピオン、ヒメクロモン、トレピブトンがある。
[幸保文治]
胆道系疾患のため胆汁の排出が阻害された場合に,胆汁分泌または胆汁排出を増加させる薬物。利胆薬は,作用機序から,肝臓に作用して胆汁生成分泌を促進する催胆薬cholereticと,胆囊中より胆汁排出を促進する排胆薬cholekineticとに分けられる。また催胆薬は,胆汁量を増加する水分催胆薬と,胆汁成分を増加させる胆汁催胆薬とに分けられる。水分催胆薬としては胆汁酸製剤のウルソデスオキシコール酸やデヒドロコール酸などがあり,胆汁催胆薬には鬱金(うこん)やその主成分のショウノウ酸エステルであるトカンフィルやいくつかの合成品がある。一方,排胆薬は,胆管の十二指腸開口部にあるオッデイ括約筋を弛緩させ胆汁を排出させるもので,硫酸マグネシウム,オリーブ油,卵黄やいくつかの合成品が用いられる。胆石症の治療には,アトロピンやパパベリンなどの鎮痙薬やモルヒネなどの鎮痛薬を与え,さらに利胆薬を用いる。
執筆者:上野 晃一+北川 晴雄
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