制度(読み)セイド(その他表記)institution

翻訳|institution

デジタル大辞泉 「制度」の意味・読み・例文・類語

せい‐ど【制度】

社会における人間行動関係を規制するために確立されているきまり。また、国家団体などを統治・運営するために定められたきまり。「封建制度」「貨幣制度
[類語]せい機構体制法制仕組み決まり定めおきてシステム

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精選版 日本国語大辞典 「制度」の意味・読み・例文・類語

せい‐ど【制度】

  1. 〘 名詞 〙 国家・団体を運営して行く上で、法律や規則により制定され、あるいは社会的に継続的に認められ、実施されているきまり。
    1. [初出の実例]「易に曰はく。上を損(そむ)して下(しも)に益(えき)あるを、節(したか)ふに制度(セイト)を以て財を傷らざれ」(出典:日本書紀(720)孝徳元年九月(寛文版訓))
    2. 「古の聖人の法の大綱は、上下万民を皆土に在着けて、其上に礼法の制度を立ること」(出典:政談(1727頃)二)
    3. [その他の文献]〔易経‐節卦〕

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改訂新版 世界大百科事典 「制度」の意味・わかりやすい解説

制度 (せいど)
institution

人々が混乱なく社会生活が営めるのは,慣習慣例,法といった社会規範に従って行為しているからである。このような社会諸規範が複合化し体系化したものを〈制度〉という。制度には,社会的に資源を配分し人員を配置する規範や,社会諸関係を規制する規範などが含まれており,それらによって人々の生活が規整されている。たとえば,家族生活は婚姻制度,扶養制度,相続制度,隠居制度,その他の諸制度によって規整されている。社会規範が制度にまで体系化され斉一化することを〈制度化〉という。(1)規範が社会の成員の多数によって受けいれられ,(2)規範への同調に対して褒賞が与えられ,違反に対して罰が加えられるという正負制裁によって規範が保証され,そして(3)成員の多数がその規範を内面化して自主的に遵守するほど,規範は制度化されている。

 以上の意味での制度に対して,その制度を正当化する価値体系を加え,さらにその制度の規整の下で活動する社会集団を加えた複合物の全体を〈社会制度〉という。つまり,価値体系,制度,社会集団の複合物を社会制度というのである。たとえば社会制度としての家族制度は,家族特有の価値体系をもち,婚姻,扶養などの諸制度をもち,親子,夫婦,兄弟姉妹などの社会関係を含む家族集団をもつ複合物である。このような社会制度として,家族制度のほかに経済制度,政治制度,教育制度,宗教制度などが重要である。社会全体を一つのシステムと考えれば,これらの社会制度は下位システムをなしている。下位システムとしての社会諸制度は,相互に依存しあいながら,社会生活の遂行にとって必要不可欠な活動を分担している。一定の人口を出産し扶養し,富を生産し分配し,公共目標を達成し,次世代に文化を伝達し,人々を苦悩から救済し,社会を連帯させる,といった諸活動を社会諸制度は担当している。
規範
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「制度」の意味・わかりやすい解説

制度
せいど
institution

複合的な社会規範の体系を意味する。端的にいえば規範の複合体である。社会規範とは、社会生活に一定の拘束を加えて統制する規則のことであって、人々の社会的行為を具体的に規制するものである。社会規範には慣習、習律、法などが含まれている。このような意味での社会規範の複合体を制度というのである。たとえば、婚姻制度という場合、そこには見合いや恋愛といった配偶者選択の慣習があり、結納という交換的な儀礼、結婚式と披露宴に関する習律があり、婚姻の届出という法がある。それらの複合的全体として、婚姻制度が成り立っている。

 制度は、社会的に承認された行為規則を提供してくれるので安全かつ効率的に欲求を充足する手段になり、混乱を規制することにより社会の秩序維持に寄与している。社会規範の複合体が、第一に、社会の成員の多数によって受容され、第二に、逸脱に対しては制裁が加えられることで保障され、第三に、個々人の人格形成のなかで内面化される場合には、その規範の複合体は「制度化」されているといわれる。まさに制度化は社会の秩序と統合にとって基本的である。しかし、社会には無規制化(アノミー化)という反対の方向の動きも絶えず作用していることに注目しなければならない。なお、社会制度social institutionという場合は、制度のみでなく、価値体系や集団や社会関係までも包含した複合体をさしている。

[塩原 勉]

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普及版 字通 「制度」の読み・字形・画数・意味

【制度】せいど

おきて。〔礼記、礼運〕大人は世して以て禮と爲し、~禮義以て紀と爲し、以て君臣を正し、~以て制度を設け、以て田里を立て、以て知を賢(たつと)び、功を以て己の爲にす。~禹・湯・・武・王・、此れを由(もち)ひて其れ(すぐ)れたり。~是れを小康と謂ふ。

字通「制」の項目を見る

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百科事典マイペディア 「制度」の意味・わかりやすい解説

制度【せいど】

社会内で規範として確定された行動様式の体系。伝統社会は習俗としての制度が自明的に安定している社会であるのに対し,近代社会では,制度が明文化されて法や組織に機構化され,一方,内面的規律としての個人倫理が生まれる,さらに大衆社会においては制度に持続性がなく,制度の融解現象が起こる,といわれる。
→関連項目サムナー

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「制度」の意味・わかりやすい解説

制度
せいど
institution

学習すべきことの規範的な妥当性が,社会的に認定されているものとして認知されるような行動様式。制度は,規範的な拘束力をもって諸個人に働きかけ,しばしばこれに合致しない行動を取る個人には,制裁が加えられる。諸個人の思念から独立した,社会的な実在として現れるところに,制度の重要な特徴がある。

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