前刀郷(読み)さきとごう

日本歴史地名大系 「前刀郷」の解説

前刀郷
さきとごう

和名抄」東急本・元和古活字本にみえ、高山寺本に「前力」と記し、いずれも訓を欠く。「延喜式」神名帳の丹羽郡には「前利サキトノ神社」の名がみえ、尾張国神名帳には「前刀天神」と記される。この神社が当郷内に所在したものと考えられることからすれば、当郷は「さきと」とよばれていたものとしてよかろう。

「続日本後紀」承和八年(八四一)四月五日条には、「右京人勘解由主典正六位上県主前利連氏益賜姓県連、神倭磐余彦天皇第三皇子神八井耳命之後也」とあり、この県主前利連は、当丹羽郡前刀郷にちなむものと考えられる。神武天皇の皇子神八井耳命を祖とする伝承をもつについては、尾張丹羽臣と同様で、少なくとも五世紀段階にまでさかのぼることのできる古い氏族である。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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