剥ぐ(読み)はぐ

精選版 日本国語大辞典 「剥ぐ」の意味・読み・例文・類語

は・ぐ【剥・禿】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 ガ五(四) 〙
    1. 離し取る。表面の部分をむき取る。はがす。
      1. [初出の実例]「あしひきの この片山の もむ楡を 五百枝波伎(ハキ)垂れ 天光(あまて)るや 日の気に干し」(出典:万葉集(8C後)一六・三八八六)
      2. 「刀を以て師子の皮を波木(ハキ)つ」(出典:観智院本三宝絵(984)上)
    2. 身につけたものを脱がせる。衣類をむきとる。はだかにする。ぬがす。はぎとる。
      1. [初出の実例]「和邇(わに)、我を捕へて悉に我が衣服(きもの)を剥(はぎ)き」(出典:古事記(712)上)
    3. 官位などを取り上げる。
      1. [初出の実例]「公家に大納言の御用ありげに聞えければ、さだめてはかれ給なむずと世にいひけるに」(出典:古今著聞集(1254)一六)
    4. 所持している金品を奪い取る。取りあげる。
      1. [初出の実例]「はいだ物は両人してはいぶん致さふ」(出典:狂言記・禁野(1700))
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ガ下二段活用 〙 奪い取る。取りあげる。
    1. [初出の実例]「根付のべくをはげて、立ながら」(出典:評判記・難波の㒵は伊勢の白粉(1683頃)二)
  3. [ 3 ] 〘 自動詞 ガ下二段活用 〙はげる(剥)

へ・ぐ【剥・折】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 ガ五(四) 〙
    1. 板のように薄くけずる。また、はりあわせたものなどをはがす。へがす。そぎとる。
      1. [初出の実例]「重物を披(ヘキ)(さき)て軽ら令むるがごとく」(出典:大智度論天安二年点(858)六六)
      2. 「五月雨や色紙へぎたる壁の跡」(出典:俳諧・嵯峨日記(1691))
    2. 物の量などを少し減らす。少なくする。へす。へずる。
      1. [初出の実例]「其の二つの神郡より輸すべき、赤き引糸(ひきのいと)、参拾伍斤、来年(こむとし)より、当に其の代を折(ヘク)べし」(出典:日本書紀(720)持統六年五月(北野本訓))
    3. 着物などを脱ぐ。
      1. [初出の実例]「一日の日のきぬなどを、もののぐへきて着る」(出典:たまきはる(1219))
    4. 他人の持物などをすばやく盗み取る。横取りする。
      1. [初出の実例]「馬飼の者それを皆耗(ヘギ)て己が徳とし」(出典:仮名草子浮世物語(1665頃)一)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ガ下二段活用 〙へげる(剥)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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