副神経(読み)フクシンケイ

デジタル大辞泉 「副神経」の意味・読み・例文・類語

ふく‐しんけい【副神経】

脳神経の一。首を動かす筋肉一部に分布する運動性神経。一部は迷走神経に混入し、名は、迷走神経に付属すると考えられたことによる。第十一脳神経。

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精選版 日本国語大辞典 「副神経」の意味・読み・例文・類語

ふく‐しんけい【副神経】

  1. 〘 名詞 〙 脳神経の一つ。第一一脳神経で、爬虫類以上の脊椎動物にある。哺乳動物羊膜類だけに独立して存在する純運動性神経で、他では迷走神経の一部として存在。僧帽筋胸鎖乳突筋などに分布する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「副神経」の意味・わかりやすい解説

副神経
ふくしんけい

第11脳神経(純粋な運動神経)で、肩にある僧帽筋と頸(くび)の前側壁にある胸鎖乳突筋の二筋を支配する。副神経の起始細胞は延髄脊髄(せきずい)とにあり、その神経軸索はそれぞれ延髄根、脊髄根をつくり、最終的には1本となって舌咽(ぜついん)神経、迷走神経といっしょに頸(けい)静脈孔を通って頭蓋腔(とうがいくう)を出る。副神経は元来、迷走神経から分離してできたもので、頸静脈孔を出ると延髄根に由来する内枝と、脊髄根に由来する外枝とに分かれる。外枝は前述の二筋に分布するが、内枝は迷走神経下神経節で迷走神経に合し、反回(はんかい)神経に混じって下喉頭(かこうとう)神経となり喉頭に分布する。

[嶋井和世・上見幸司]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「副神経」の意味・わかりやすい解説

副神経
ふくしんけい
accessory nerve

第 11脳神経で,運動性線維のみから成る。その起始核が延髄から頸髄に及ぶため,神経根も延髄根と脊髄根に分れる。前者は延髄から出て副神経内枝となり,迷走神経中に入り,喉頭筋を支配する。後者は頸髄から出て副神経外枝となり,胸鎖乳突筋および僧帽筋に分布する。

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世界大百科事典(旧版)内の副神経の言及

【延髄】より

…舌咽神経は,舌と咽頭に分布し,知覚,運動,分泌をつかさどる。副神経は頸と肩にある二つの筋(胸鎖乳突筋と僧帽筋)を動かす。舌下神経は舌の筋に行き舌を動かす。…

【神経系】より


[脳神経と脊髄神経]
 脳に出入する末梢神経系,すなわち脳神経は爬虫類以上の脊椎動物では一般に12対ある。嗅神経,視神経,内耳神経(平衡聴覚神経または前庭蝸牛(かぎゆう)神経)のほか,眼球を動かす動眼神経,滑車神経,外転神経,表情筋を動かす顔面神経,頭顔部の感覚を伝達する神経繊維のほかに,咀嚼(そしやく)筋を動かす神経繊維を含む三叉(さんさ)神経,そのほか舌咽神経,迷走神経,副神経,舌下神経である。以上12対の脳神経のうち,副神経は本来は迷走神経の副枝である。…

【脳神経】より

…第10脳神経は延髄に出入するのであるが,はるばる腹腔にまで下行して分布するから〈迷走神経nervus vagus〉ともよばれる。 第11脳神経は副神経nervus accessoriusとよばれ,僧帽筋と胸鎖乳突筋の運動神経である。これらの筋は,頭,頸,肩の動きに主要な役割を果たしている。…

※「副神経」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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