出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
明治・大正時代の軍人、政治家。文久(ぶんきゅう)1年2月22日安芸(あき)国(広島県)に生まれる。海軍兵学校、海軍大学校を卒業し、日清(にっしん)戦争には巡洋艦吉野(よしの)の砲術長として従軍、日露戦争には第二艦隊参謀長、のち連合艦隊参謀長兼第一艦隊参謀長として出征、日本海海戦に大勝を収めた。1906年(明治39)海軍次官、1908年中将昇進、1909年呉鎮守府(くれちんじゅふ)司令長官、1913年(大正2)第一艦隊司令長官を歴任、1915年第二次大隈重信(おおくましげのぶ)内閣の海相となり大将に昇進、以後寺内正毅(てらうちまさたけ)、原敬(はらたかし)、高橋是清(たかはしこれきよ)各内閣の海相を務め、1920年男爵となる。1921~1922年ワシントン会議に首席全権として出席、帰国後高橋内閣の後を継いで内閣を組織し、海相を兼任した。加藤内閣は陸海軍軍縮、行財政整理、シベリア撤兵などを断行し、彼自身議会で軍部大臣文官制を容認する発言を行ったが、普通選挙法には反対した。生来胃腸が弱くやせ形のため、また貴族院を中心に内閣を組織したため、護憲派のジャーナリズムから「燃え残りのロウソク」「残燭内閣(ざんしょくないかく)」というあだ名をつけられていたが、首相在任中に大腸癌(だいちょうがん)で倒れ、死の直前元帥、子爵を授けられ、大正12年8月24日に死去した。
[木坂順一郎]
『宮田光雄編『元帥加藤友三郎伝』(1928・加藤元帥伝記編纂委員会)』▽『新井達夫著『加藤友三郎』(1958・時事通信社)』▽『田辺良平著『わが国の軍備縮小に身命を捧げた加藤友三郎』(2004・春秋社)』▽『御厨貴監修『歴代総理大臣伝記叢書13 加藤友三郎』(2006・ゆまに書房)』
(小池聖一)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報
海軍軍人,政治家。安芸広島藩士出身。海軍兵学校(7期)卒業。日清戦争にはイギリスで建造された軍艦吉野の砲術長として黄海の海戦,旅順口の占領などに従い,日露戦争では第2艦隊参謀長,のち連合艦隊参謀長として東郷平八郎司令長官を補佐し,日本海海戦でバルチック艦隊を全滅させた。その後,海軍次官,呉鎮守府司令長官を経て,1915年に大隈重信内閣の海相に就任し大将に昇進した。引き続き寺内正毅,原敬,高橋是清内閣の海相を歴任し,この間,21年にワシントン会議の全権委員をつとめる。加藤らはこの会議で対英・米6割の海軍軍縮に同意し,四ヵ国条約,対中国九ヵ国条約などに調印し帰国した。その直後の22年6月,高橋内閣の崩壊後,立憲政友会の援助を受けて組閣し,行財政の整理,綱紀粛正,教育および産業社会的施設の振興と軍備縮小につとめ,共産党に対する最初の弾圧(第1次共産党事件)を行ったが,翌年の夏在任中に病死。死去の直前に子爵,元帥となる。
執筆者:金原 左門
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1861.2.22~1923.8.24
明治・大正期の海軍軍人・政治家。安芸国生れ。海軍大学校卒。日清・日露戦争および第1次大戦に従軍。日露戦争では連合艦隊参謀長として,1905年(明治38)の日本海海戦を指揮した。日露戦争後,次官・海相として海軍の拡充に努めた。14年(大正3)清浦奎吾の組閣を阻止。ワシントン会議では全権として軍縮条約を締結,英米両国との建艦競争に歯止めをかけた。22年6月首相に就任し,外交面では軍縮やシベリア撤兵を実行。内政面でも行財政整理を推進したが,翌年8月首相在任中に死去。
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出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
…日本の大陸侵出は歯止めがかけられ,協調外交が主流となった。高橋内閣が内紛で倒れたあと,ワシントン会議の首席全権海軍大将加藤友三郎が政友会を準与党として組閣した。加藤はワシントン会議で協定された海軍軍縮のほか,陸軍軍縮も断行し,選挙権拡張を検討した。…
※「加藤友三郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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