神道では,離れた土地より分霊を迎え遷座鎮祭すること,すなわち,本祀の社の祭神の分霊を迎えて新たに設けた分祀の社殿にまつること。もともとは仏教より出た語で,仏に久住して法輪を転じ衆生を擁護することを請う,という意で用いられたが,のちに仏菩薩を他に請じて久住を願うことに転じて用いられるようになった。日本では神仏習合の発展によって,八幡大菩薩や熊野権現などの垂迹神の神託を請うことを勧請といい,さらに神仏の霊を招いて奉安することをいうようになり,そこに勧請された神を勧請神と呼ぶようになった。有名な勧請の例としては,鹿島・香取・枚岡(ひらおか)の各社から勧請した奈良の春日大社,九州の宇佐八幡から勧請した東大寺八幡(手向山(たむけやま)八幡)・石清水八幡,石清水八幡から勧請した鎌倉の鶴岡八幡があげられる。全国に分祀されている八幡神社は,宇佐,石清水,鶴岡のいずれかの八幡宮を本祀として勧請したものが多い。八幡の勧請には,石清水の神領拡大に伴って領主側から積極的に分祀勧請した例や,鎌倉御家人が西遷するにあたり,幕府守護社たる鶴岡八幡を奉じて領地内に勧請した場合が多い。このほか祭祀の場に臨時に神の降臨を請うこともいい,吉田神道の祭儀では諸神勧請の所作があり,《勧請祭文》を読誦することによって,神々が来臨する。これも勧請と称した。
執筆者:岡田 荘司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
仏に勧めて、法を説いたり、世に久しく住することを請うこと。釈迦(しゃか)が悟りを得たとき梵天(ぼんてん)がきて法を説くことを請い願ったり、あるいは普賢菩薩(ふげんぼさつ)の十大願の第七に、仏がこの世に長くとどまることを請い願うなど、多くの用例がある。のちに菩薩の五種の滅罪懺悔(めつざいさんげ)の法(五悔)の一つともなった。日本では、神仏の神託を請うこと、神仏の霊や形像を招請し奉安することをもいう。中世、日吉山王(ひえさんのう)社、八幡(はちまん)宮、祇園(ぎおん)社、天満(てんまん)宮、そのほか有名神社の祭神の分霊は、全国に勧請された。こうした神は勧請神といわれたが、祭りのために臨時に祭壇に招請される神をさす場合もある。さらに実際に開山でない人を開山にあてるのを勧請開山という。
[田村晃祐]
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