(読み)モンメ

デジタル大辞泉 「匁」の意味・読み・例文・類語

もん‐め【×匁/文目】

尺貫法の重さの単位。1匁は1貫の1000分の1で、約3.75グラム。真珠の取引などに用いられる。
江戸時代秤量貨幣である銀貨の単位。金1両は銀50~80匁。唐の開元通宝銭が渡来して標準とされ、1文の目方を1文目と呼んだことによる。
[補説]「匁」は国字。平成22年(2010)常用漢字表から削除、人名用漢字に追加された。

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精選版 日本国語大辞典 「匁」の意味・読み・例文・類語

もん‐め【匁・文目】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 尺貫法における重量の単位。貫の千分の一、分(ふん)の一〇倍にあたる。唐の開元通宝銭一文の重さを「もんめ」と称して中世末期以降用いられたが、斤両制と入りまじって複雑になり、江戸中期以降規格が統一された。約三・七五グラム。略して、「目(め)」という。
    1. [初出の実例]「こかねしろかねの両目の事は、京の大法として、いつれも一両四文半銭にて、弐両九文めたる処に、金をは一両五文めに売買事、其謂なし」(出典:大内氏掟書(1459‐95)六〇条)
  3. 通貨の単位として、を用いたもの。江戸時代、金貨が定量貨幣(一両四~五匁)として用いられたのに対して、銀貨は秤量(しょうりょう)貨幣として用いられ、もっぱらその実量を匁で表わしていった。江戸幕府は、金貨との交換を、慶長一四年(一六〇九)金一両につき銀五〇匁と定め、元祿一四年(一七〇一)には一両につき六〇匁とするなど、時代によって違い、また、その日その日の相場によって左右されたが、金一両は銀五〇~八〇匁であった。
    1. [初出の実例]「新米壱石六拾目の相場の時も六十五匁にしてしかも下米をわたしぬ」(出典:浮世草子・日本永代蔵(1688)五)
  4. 江戸時代、金貨の単位の「両」をしゃれていう語。もと江戸の遊里吉原で用いたが、後には一般にもいうことがある。〔洒落本・魂胆惣勘定(1754)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「匁」の意味・わかりやすい解説


もんめ

尺貫法の質量の単位、1貫の1000分の1、3.75グラムにあたる。もとは銭で、銭貨1文の目方を文目とよんだ習慣からこの呼称が定着した。匁は銭の古字「泉」の草書である。唐の開元のとき開元通宝が鋳造されたが、これが重さ2銖(しゅ)4(るい)、直径8分に正確につくられ、以後は銭貨の標準となった。そこで宋(そう)代にはこれを質量の単位とすることが普及し、日本にも銭貨とともに渡来して匁とよばれるようになった。このため中国と日本とでは長く質量の単位は一致していたが、1891年(明治24)度量衡法制定にあたって1貫を3.75キログラムとしたため、わずかの差を生じた。メートル法による統一にあたって商取引用の使用は禁止されたが、真珠用として外国でも用いられているという理由で、真珠の取引用には現在も、用途を限定する非SI単位として認められている。

[小泉袈裟勝・今井秀孝]

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改訂新版 世界大百科事典 「匁」の意味・わかりやすい解説

匁 (もんめ)

尺貫法における質量の単位。唐の貨幣である開元通宝銭(一文銭)の目方を質量の単位として用いて銭といい,日本ではこれを銭または匁と称した。1000匁を貫と呼んだが,1891年制定の度量衡法では逆に貫を基本としたため,匁は貫の分量単位

となり,\(\frac{1}{1000}\)貫に等しく,3.75gである。

分量単位は1/10匁の分(ふん),以下,十進法による厘,毛である。
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普及版 字通 「匁」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 4画

[字訓] もんめ

[字形] 国字
一貫の千分の一の分量をいう。また銭の単位で、一両の六十分の一。銀六十匁が一両にあたる。匁は文目(もんめ)。長さに文といい、重量に匁、また単に目ということがある。

[訓義]
1. もんめ、一貫の千分の一。

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百科事典マイペディア 「匁」の意味・わかりやすい解説

匁【もんめ】

(1)尺貫法の質量の単位。1匁=1/1000貫=15/4(=3.75)g。唐の開元通宝1文の重量から生じ,最初は文目と書いた。(2)江戸時代における銀貨の重量単位。当時流通した金,銀,銭の3貨の交換基準は,銀1匁=金1/60両=銭1/15貫文と定められていた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「匁」の意味・わかりやすい解説


もんめ

尺貫法の質量の単位。貫の 1/1000 。真珠の取引で使用され,日本古来の単位のなかで唯一の国際的な単位。記号は mom。 1mom=3.75g。唐代の銅銭「開元通宝」の質量が1両の 1/10 であったので,この重さを単位として銭と呼んだ。銭は泉にあたり,泉の略字の匁が用いられた。日本ではこれを1文銭と呼んだので文の目方が「もんめ」という和語になった。

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単位名がわかる辞典 「匁」の解説

もんめ【匁/文目】

尺貫法の重さの単位。1貫の1000分の1。約3.75g。◇名称は、唐の開元通宝銭(621年鋳造)1枚の重さにちなむ。匁は泉の略字で、泉(せん)は銭(せん)に通じている。以後日本でも使われ、読みは和語で「1文の目方」を縮めたものである。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【円】より

… 補助単位の〈銭〉はアメリカの補助単位セントの発音に類似のために採用されたともいわれているが,これも俗説である。東洋世界での銅銭の原基となった唐の開元通宝(621鋳造)の量目を,宋以降に新たな単位として匁または銭とよんだ。日本の銅銭,和同開珎も寛永通宝も当初量目が一匁のゆえに,これらを一文銭とよぶ。…

【貫】より

…この名称は銅銭1000枚の穴に緡(びん)(鏹(きよう)ともいい,ぜにざしのこと)を貫いて束ねたことに由来し,日本でも唐銭,宋銭の流入に伴って室町時代前後から用いられるようになった。江戸時代になると通貨は基本を異にする金,銀,銭の3貨に分かれ,基本単位は金貨が小判の両(=4分=16朱),銀貨が匁,銭貨が文であり,銀貨1000匁を1貫目,銭貨1000文を1貫文と呼んだ。このうち銀貨は秤量(ひようりよう)通貨であり,単位の匁や貫目は質量(目方)の単位である。…

【金】より

… このころまで金は一般に秤量貨幣として流通した。金の量目は鎌倉時代から1両=4匁5分が行われ,金の使用が広まるにつれこの量目法を京目と呼び,地方に4匁,4匁2分などを1両とする田舎目が行われた。16世紀後期に畿内中心に1両=4匁4分に改まったが,両,分,朱の四進法と貫匁法を併用する便宜からであろう。…

【銀】より

… 16世紀以来秤量貨幣として銀流通が発達した。古代には銀の秤量は令に定められ,唐制の大称の斤・両・銖が行われたが,鎌倉時代から1両=4匁3分の法がみられる。銀1枚は10両=43匁である。…

※「匁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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