北黄金貝塚(読み)きたこがねかいづか

日本歴史地名大系 「北黄金貝塚」の解説

北黄金貝塚
きたこがねかいづか

[現在地名]伊達市北黄金町

内浦湾の東海岸に位置する縄文時代遺跡。国指定史跡気仙きせん川に沿って延びる標高約二〇―三〇メートルの舌状の海岸段丘上とその裾に立地する貝塚や墓地からなる大規模な集落遺跡で、面積は一五万平方メートルと推定される。第二次世界大戦前に峯山巌が発見し、三ヵ所の地点貝塚を試掘している。その後、「北海道の人の成り立ち」を研究テーマとする札幌医科大学の数次の発掘調査が行われ、多くの人類学的成果があった。縄文早期から晩期までの遺物が発見されているが、中心となるのは貝塚や墓地、水場遺構の発見された縄文前期円筒下層式と、住居の発見された縄文中期円筒上層式の時期である。貝塚は五ヵ所(C地点貝塚は史跡指定地外)で確認され、それぞれ時期的に変遷していたことが明らかにされている。最も古い前期初頭(静内中野式)のB地点貝塚から、最後に作られた前期後半(円筒下層式)のA地点貝塚まで、縄文海進に伴う海岸線の変化に応じて生活の場を変えていった様子を示している。各貝塚を構成する貝の種類からも、ハマグリ、コタマガイ主体のB地点貝塚、マガキ中心のA′地点貝塚、アサリホタテなどが目立つA地点貝塚といったように、海水温の変化していった様子が読取れる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「北黄金貝塚」の解説

きたこがねかいづか【北黄金貝塚】


北海道伊達市北黄金町にある縄文時代の貝塚遺跡。上坂(うえさか)、茶呑場(ちゃのみば)の2つの丘にひろがり、およそ30万m2。縄文時代早期(約7000年前)~中期頃(約4500年前)の5つの貝塚を中心とした大規模な集落遺跡で、貝塚は墓地としても機能しており、14体の人骨が出土している。そのほか、石器土器・骨角器などの工芸品も出土している。貝塚のほかに、祭祀の場と推定される水場遺構(水を引き込んだ場所)があり、このような水場は北海道ではこの遺跡にしか見られない。また、石皿や擦石などの調理道具が約1300個発見されている。1987年(昭和62)に国の史跡に指定され、1996年(平成8)には追加指定された。2001年(平成13)には遺跡のうち約10万m2が史跡公園施設として整備され、公園内には貝塚や竪穴(たてあな)式住居が復元されている。JR室蘭本線黄金駅から道南バス「北黄金貝塚公園前」下車、徒歩約5分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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