青森、秋田、岩手の3県にまたがる国立公園。十和田湖を中心に八甲田山(はっこうださん)を含む十和田地区は、1936年(昭和11)に国立公園に指定、八幡平地区は1956年(昭和31)に追加指定された。面積855.51平方キロメートル。火山性の山地、高原、湖沼、温泉などを含み、観光の中心は十和田湖である。二重式カルデラ湖として世界的に有名で、湖岸は外輪山によって囲まれている。十和田湖から流れ出る奥入瀬川(おいらせがわ)は、四季折々の豊かな自然を映し、両岸にかかる滝とともに渓谷美で知られ、十和田湖とともに特別名勝・天然記念物に指定されている。河床と道路との差が1メートルほどで、渓流を歩きながら楽しむことができる。十和田湖の北部にそびえる八甲田火山群は、南八甲田の10峰と北八甲田の8峰からなる。冬は樹氷で知られ、春から初夏にかけては山岳スキーが楽しめる。山麓(さんろく)には酸ヶ湯(すかゆ)、田代元湯、猿倉(さるくら)温泉などがある。
八幡平地区は、最高点1614メートルの広大な高原をなす一帯と、円錐(えんすい)状火山の岩手山(2038メートル)や、秋田駒(こま)とよばれる駒ヶ岳(1637メートル)からなる。八幡平には旧火口に水をたたえた小湖沼が点在し湿原も多い。玉川、後生掛(ごしょがけ)、乳頭(にゅうとう)温泉郷など温泉が多く、植物相も豊富である。特別天然記念物に玉川温泉の北投(ほくとう)石、岩手山の焼走り熔岩(ようがん)流がある。八幡平では夏スキーができる。
[横山 弘]
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