南都絵所(読み)なんとえどころ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「南都絵所」の意味・わかりやすい解説

南都絵所
なんとえどころ

鎌倉時代以降,南都 (奈良) 興福寺大乗院,一乗院に属した吐田座 (はんだざ) ,松南院座芝座の3座の絵仏師組織。治承4 (1180) 年の焼打ちによる南都復興を大きな契機とし,吐田座有尊,松南院座尊智など,京都から下った絵師や在地の絵師が定着して座を形成し,世襲的に継承した。院家より給分を与えられ,被官分となって仏画制作,仏像彩色や堂内装飾に従事した。ときには東大寺四天王寺,各院家末寺などの需要にも応じた。永仁3 (1295) 年堯儼 (ぎょうごん) の描いた薬師寺蔵『板絵神像』をはじめ,いくつかの作品が伝わっている。作風は伝統的な仏画の域を出ず,次第に固定化し停滞した。室町時代には3座に吐田助座が加わり,従来からの受注の権利をめぐって互いに対抗しつつ近世初期まで存続した。天文5 (1536) 年『東大寺大仏縁起絵巻』を描いた琳賢著名

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