印半纏(読み)シルシバンテン

デジタル大辞泉 「印半纏」の意味・読み・例文・類語

しるし‐ばんてん【印半×纏/印半天】

襟や背などに屋号家紋などを染め抜いた半纏。主に職人商家使用人が着用する。法被はっぴ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「印半纏」の意味・わかりやすい解説

印半纏
しるしばんてん

鳶職(とびしょく)、大工、左官、植木屋などの職人たちが着る仕事着で、広袖(ひろそで)または筒袖、丈は腰くらいまでの半纏。仕着(しき)せ半纏、お店(たな)半纏ともいう。単(ひとえ)と袷(あわせ)がある。紺木綿に家紋、名字、屋号、記号などを背中に大きく、また衿(えり)にも白抜きにしてあるので、この名がある。紺のほかに茶木綿も用いられた。大店(おおだな)では盆、暮れに、出入り職人たちに仕着せとして与え、また職人の親方が弟子や小僧に支給した。江戸後期になると、盲縞(めくらじま)の腹掛けももひきと半纏を一組みにした着方が職人の制服として定着し、この風習は明治、大正、昭和の初めころまで引き継がれた。第二次世界大戦以降は廃れ、現在は消防の出初式や、古風を重んじる職人の一部に残るのみとなった。帯を締めずに着流しにし、麻裏草履(ぞうり)をはくが、そろばん玉の柄(がら)の三尺帯を締めることもある。

[岡野和子]


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