原シナイ文字(英語表記)Proto-Sinaitic script

山川 世界史小辞典 改訂新版 「原シナイ文字」の解説

原シナイ文字(げんシナイもじ)
Proto-Sinaitic script

シナイ半島のトルコ石採掘坑跡サラービート・ル・ハーディムを中心に,石碑岩壁に刻されているのが発見された文字。「シナイ文字」と呼ばれることもあるが,同じくシナイ半島にのこされた,ナバテア文字からアラビア文字への移行過程を示す書体の文字と区別するため,現在では「原」をつけて呼ぶのがふつうである。エジプト象形文字と線形アルファベットの中間形態を示し,前2千年紀前半のものと推定されるため,一時はアルファベット祖型と主張された。しかし同系統で年代的にはさらに古いのではないかと思われる文字(原カナーン文字)が,パレスチナ各地より出土しているため,シナイ半島がアルファベット誕生の地とは認めがたい。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

今日のキーワード

土砂災害

大雨や地震が誘因となって起こる土石流・地滑り・がけ崩れや、火山の噴火に伴って発生する溶岩流・火砕流・火山泥流などによって、人の生命や財産が脅かされる災害。...

土砂災害の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android