原色版印刷(読み)げんしょくばんいんさつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「原色版印刷」の意味・わかりやすい解説

原色版印刷
げんしょくばんいんさつ

黄、赤、藍(あい)の3色に黒を加え4色を刷り重ねた網目凸版印刷。本来は、版は銅板に製版した網版であるが、4色を用いた凸版印刷法という意味にも用いることがある。銅板製版の網目凸版は重厚な原色印刷の効果を表す。製版時に念入りな修正を行えば、油絵複製や陶磁器カラー写真の複製には最適である。しかし、大判はコスト高になり、製版時間もかかり、印刷速度も遅いので、いまではほとんど行われない。

 三色版は、1870年ごろフランスのオーロンLouis Ducos du Hauron(1837―1920)が特許をとり実用化したもので、これに黒を加えフルカラーを表現する印刷は原色版のほかオフセット平版、カラーグラビアにも利用される。

[山本隆太郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「原色版印刷」の意味・わかりやすい解説

原色版印刷
げんしょくばんいんさつ
colour printing

色彩と調子を再現,複製する網版凸版印刷。絵画や天然色写真の複製などに向く高級印刷。黄,紅,藍,墨の4版をつくりそれぞれの色で刷合せる。原稿中の色を黄,紅,藍に三色分解し,この分解ネガから透明ポジをつくり,網スクリーンをかけ,複写した網ネガをつくって,銅板の感光膜に焼付けて腐食製版する。使用する感光板はすべての色に感光するパンクロ乾板を使い,一般に網スクリーンをかけない。墨版はフィルタなしか,黄色フィルタなど適当なものを使用する。できた凹凸のある各色版を機械にかけて印刷する。3色,5色,6色など可能。印刷部数が多い場合には,版面にクロムメッキを施す。

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