反社会契約説(読み)はんしゃかいけいやくせつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「反社会契約説」の意味・わかりやすい解説

反社会契約説
はんしゃかいけいやくせつ

社会契約説を否定する理論。社会契約説が盛んであった 18世紀に,早くも生れた。 B.マンデビル,D.ヒューム,A.スミス,A.ファーガソンなどがこの系譜に属しており,その共通した論拠は次のとおりである。 (1) 自由意志に基づく契約の観念原始人知力をはるかにこえたものである。 (2) 原始契約が行われたという証拠はどこにも見当らない。かりにそれが行われたとしても,それによって子孫が拘束されることはありえない。 (3) 歴史をみると,最初の政府は契約ではなく,むしろ暴力によって樹立されている。要するに,社会契約説の非歴史性,仮構性が批判されたのであり,以後の社会契約説はフィヒテカントのように論理的仮説としてのみ提示されることになる。

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