ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「叙事詩圏」の意味・わかりやすい解説
叙事詩圏
じょじしけん
Epikos Kyklos
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…なお,ホメロスを盲目の詩人とする巷説は,《ホメロス風賛歌》中の〈アポロン賛歌〉にある〈峨々たるキオスに住む盲(めしい)の人〉という作者自身への言及に由来するもので,ヘレニズム時代以降のホメロスの胸像等はつねに彼を盲目の老人で表現している。 最後に作品については,古くは二大叙事詩のほかにも,〈叙事詩圏〉中の《テーバイス》《エピゴノイ》《キュプリア》や,滑稽詩《マルギテス》(これらはいずれも断片しか伝わらない),約300行の《蛙鼠(あそ)合戦》,長短30数編の《ホメロス風賛歌》などが彼に帰されていたが,今日では,《イーリアス》《オデュッセイア》以外はいずれもホメロスの作にあらずと判断されている。
[ホメロス問題]
このようにホメロスに関する伝承があいまいであるにもかかわらず,少なくとも《イーリアス》と《オデュッセイア》に関するかぎり,古代人はそれがホメロスの作たることを信じて疑わず,《オデュッセイア》はホメロスとは別人の作と唱えて〈分離派〉と呼ばれたアレクサンドリアの一部の学者の声などは,まったくの例外にすぎなかった。…
※「叙事詩圏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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