本来は減成(degradation)に対応して,有機化合物の炭素数を増やして目的の構造を構築することを意味する.有機化学分野では,“有用な物質を,できるだけ安価な原料から,簡便な手段で合成する方法(効率がよく,選択性の高い反応や官能基の保護法など)”の研究開発に努力が払われ,新薬,新材料など種々の合成品が市販されている.複雑な構造をもつ天然有機化合物でも,多段階反応を用いれば合成可能になっており,“全合成”とよばれている.また,光化学エネルギーを利用した合成は“光合成”,酵素や生物を利用した合成は“生合成”,生体内合成機構と類似の経路による合成は“バイオミメティックな合成”(biomimetic synthesis)とよばれる.無機化学分野では,従来,“製法”という言葉が使われてきたが,人造宝石(ルビー,ダイヤモンド,サファイアなど)の製造などに対して,合成という言葉が用いられるようになってきている.とくに有機合成に関しては,光学活性物質の立体特異的な不斉合成や糖タンパク質,複合脂質などの複雑な高分子構造をもつ物質の酵素類を用いた合成に進展していくものとみられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…通例3種に分ける。(1)複合(合成ともいう) 従来存在していた2単語以上を結合して新語を作ること。たとえばblack bird(黒い鳥)は2語であるが,blackbird(ムクドリ)は1語であって複合である。…
※「合成」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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