合羽摺(読み)カッパずり

精選版 日本国語大辞典 「合羽摺」の意味・読み・例文・類語

カッパ‐ずり【合羽摺】

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「合羽摺」の意味・わかりやすい解説

合羽摺
かっぱずり

版画の技法。合羽版型紙摺(かたがみずり)ともいう。孔版の一種で、染色で盛んに使われるステンシル法も同じ方法である。渋紙(しぶがみ)や桐油紙(とうゆがみ)など強い耐水性の紙に図様をかき、これを切り抜いて版とし、和紙などの上にのせて、上から刷毛(はけ)で絵の具を塗って図様を摺(す)り出すもの。桐油合羽に用いる紙を型紙に用いたところからこの名がある。日本では、江戸時代とくに上方(かみがた)で発達した技法で、1746年(延享3)刊、大岡春卜(おおおかしゅんぼく)画の『明朝生動画園(みんちょうせいどうがえん)』(明朝紫硯(みんちょうしけん))の色摺に一部この技法を用いたのが最初とされる。その後、1770年(明和7)ごろから雪圭斎昌房(せっけいさいまさふさ)、国花堂(こっかどう)、不韻斎(ふいんさい)らによって、木版墨摺絵(すみずりえ)の彩色に合羽摺を使用する方法が定着し、以後幕末まで京都を中心に制作されている。19世紀初頭の有楽斎長秀(うらくさいながひで)はこの技法の代表的絵師

[浅野秀剛]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android