名本(読み)みょうもと

改訂新版 世界大百科事典 「名本」の意味・わかりやすい解説

名本 (みょうもと)

中世の歴史用語。名親(みようおや)ともいう。中世後期,荘園の崩壊にともない,公方(くぼう)年貢といわれる本年貢・公事の負担(本役)を負った荘園年貢負担者をいう。は本来荘園の年貢・公事の徴税単位であり,一定の耕地片の集合体として編成されたが,16世紀ごろ例えば,〈此田地ハ抜地として親ニて候次郎衛門跡より譲候,本役少も有るまじく候〉(弘治元年12月26日,おかのあま等連署売券)などとあるように,在地で名編成下にある耕地片の土地の権利が盛んに売買・譲渡され,一部の地主層への土地集積がみられた。抜き地とは各耕地の分割売買のことで,本役の負担義務を他の耕地に転化した名抜きの売却のことだが,こうして名体制が形骸化した後,荘園の本役負担責任者となったのが名本である。戦国期には,名本は土地の寄進・売買・譲渡の保証人として機能した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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