名誉毀損罪(読み)めいよきそんざい

精選版 日本国語大辞典 「名誉毀損罪」の意味・読み・例文・類語

めいよきそん‐ざい【名誉毀損罪】

〘名〙 名誉毀損によって成立する罪。刑法二三〇条に規定旧称誹毀(ひき)罪。
三つ太陽(1947)〈杉浦明平〉「不敬罪を、いな検事の告発する名誉毀損(キソンザイ)という象徴的な神威を発揮しうるからである」

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デジタル大辞泉 「名誉毀損罪」の意味・読み・例文・類語

めいよきそん‐ざい【名誉毀損罪】

具体的なことがらを挙げて、相手名誉を傷つける罪。挙げたことがらの真偽にかかわらず成立する。ただし、相手が死者公務員選挙などの候補者である場合、公共利害に関する場合、挙げたことがらが真実であれば成立しない。刑法第230条が禁じ、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金に処せられる。
[補説]具体的なことがらを挙げずに侮辱した場合は侮辱罪となる。

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百科事典マイペディア 「名誉毀損罪」の意味・わかりやすい解説

名誉毀損罪【めいよきそんざい】

公然事実を摘示して他人の名誉を毀損する罪。刑は3年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金(刑法230条以下)。死者の名誉を毀損した場合は摘示された事実が虚偽でなければ罰しない。公然とは不特定または多数人が知り得る状態,名誉とは人の価値または地位に対する社会的評価をいう。毀損とは社会的評価を害するに足る事実の表示であり,現実に名誉が害されるを要しない。摘示された事実の真否は問われないが,名誉毀損行為が公共の利害に関連してもっぱら公益のためなされた場合,公務員または公務員の候補者に関する場合には,その事実が真実なる旨の証明があれば罰しない。親告罪であって,天皇皇后等の名誉毀損の場合は,内閣総理大臣が,外国の君主等の場合はその国の代表者が代わって告訴する。→不敬罪侮辱罪プライバシー
→関連項目讒謗律信用毀損罪

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「名誉毀損罪」の意味・わかりやすい解説

名誉毀損罪
めいよきそんざい

公然と事実を摘示して他人の名誉を毀損する罪で,親告罪。刑は3年以下の懲役もしくは禁錮または 50万円以下の罰金。人の価値に対する社会的評価を保護するためのもので,単なる名誉感情の保護を目的とするものではない。事実を摘示することが必要で,その点で,これを必要としない侮辱罪と区別される。たとえ摘示事実が真実であっても,死者の名誉を毀損する場合を除いて本罪が成立する。ただし正当な評論は憲法にいう表現の自由の保障するところであるから,厳格な要件のもとで,事実の真実であることが証明されれば罰せられない。なお経済的信用の毀損行為は,信用毀損罪として処罰される。

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世界大百科事典(旧版)内の名誉毀損罪の言及

【侮辱罪】より

…本罪の行為は,不特定または多数の人が認識しうる状態で,言語・動作等によって,人に対する侮蔑の意を表示することである。名誉毀損罪と異なり,事実を摘示しない点に特徴がある。したがって,人の身体的欠陥を指摘する場合等も,それが単なる侮蔑の表示と認められれば侮辱罪となり,身体的欠陥をその人の人間的価値に関係させて事実として摘示していると認められる場合には名誉毀損罪となる。…

【名誉毀損】より

…現行刑法は,当初真実の証明による免責をいっさい認めていなかったが,戦後の憲法改正によって表現の自由の保障が強化されたのに伴って,真実証明に関する規定(230条の2)が追加された(1947)。 現行刑法は公然と事実を摘示して人の名誉を毀損した者は,その事実の有無を問わず,3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金に処すとしている(名誉毀損罪。230条)。…

※「名誉毀損罪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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