含歯性嚢胞(濾胞性歯嚢胞)(読み)がんしせいのうほう(ろほうせいしのうほう)(英語表記)Dentigerous cyst (Follicular cyst)

六訂版 家庭医学大全科 の解説

含歯性嚢胞(濾胞性歯嚢胞)
がんしせいのうほう(ろほうせいしのうほう)
Dentigerous cyst (Follicular cyst)
(口・あごの病気)

どんな病気か

 含歯性嚢胞(濾胞性歯嚢胞)は、埋伏歯(まいふくし)歯冠(しかん)を含む形で形成される嚢胞で、歯冠部を形成する歯胚(しはい)上皮から生じます。

症状の現れ方と検査

 症状は、顎骨(がくこつ)の無痛性の膨隆や、増大して顎骨の皮質骨が吸収された結果、骨が薄い乾燥した皮のように感じられたり(羊皮紙様感(ようひしようかん))、該当する歯の萌出(ほうしゅつ)の遅延、歯並びの変化などです。永久歯が形成され萌出する時期の年齢(10~20代)に多くみられ、部位としては、上顎では前歯部、犬歯(けんし)部、下顎では智歯(ちし)部、小臼歯(しょうきゅうし)部によく起こります。

 X線所見では、歯冠を包み込むような類円形の透過像がみられます(図19)。

治療の方法

 嚢胞腔を開窓し、正常歯列にあるべき歯から起きている場合には、埋伏している歯を正常な位置へ萌出誘導し、埋伏歯を保存することを試みます。原因である埋伏歯過剰歯であったり、萌出方向が逆であったり、歯根の屈曲が強い場合や萌出誘導が不可能な場合は、嚢胞とともに歯を摘出します(図20)。

 なお、顎骨内腫瘍(がくこつないしゅよう)との区別が必要です。


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報