呉[三国時代](読み)ご[さんごくじだい](英語表記)Wu

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「呉[三国時代]」の意味・わかりやすい解説

呉[三国時代]
ご[さんごくじだい]
Wu

中国,三国 (→三国時代 ) の一つ。孫氏が江南に建てた国 (222~280) 。後漢末,孫堅,孫策父子は江南に勢力を拡大していったが,孫策の死後その跡を継いだ弟の孫権は,劉備と同盟し,曹操を赤壁に破った (→赤壁の戦い ) 。孫権はこれによって曹操の南下を食止めると同時にその独立の基礎を固めた。曹丕 (ひ) ,蜀の劉備がそれぞれ帝位についたので,孫権もこれに対抗して黄武1 (222) 年みずから呉王となり,次いで 229年帝位につき,建業 (現南京) に都をおき,国号を呉といい,年号を黄竜と改めた。この頃から孫権は外は蜀と結んで魏にあたり,内では江南の開発に努め,土着民である山越を征服し,さらに南方にまで手を伸ばした。孫権の死後国力はあまりふるわず,ついに西晋の武帝に滅ぼされた。呉は後漢の頃から開発が進んだ江南を根拠地とした独立国であり,そうした点で,のちこの地を根拠地とした東晋南朝の先駆をなすものである。呉では土着豪族である朱,張,顧,陸の四姓などの勢力が強く,呉の建国はこれら土着豪族の支援によるところが多かった。

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