周期ゼミ(読み)しゅうきぜみ(英語表記)periodical cicada

知恵蔵 「周期ゼミ」の解説

周期ゼミ

13年または17年という周期で地域ごとにいっせいに羽化するアメリカのセミ。この年数素数のため、素数ゼミと呼ぶ人もいる。ジュウサンネンゼミ及びジュウシチネンゼミという呼び名があるが、これは種名ではなく、それぞれの周期で大発生するセミはそれぞれ3種ずついる。こうした周期が進化した理由についての従来の説明は対捕食者戦略であった。大発生することで、鳥などの捕食者が食べきれず、また長い奇数年周期では、たまたま2年周期とか3年周期の生活史をもつ捕食者がいても、大発生の時期と偶然に同調するということもありえず、餌として当てにされないので、生き残るうえで有利だったというのである。ところが近年、吉村仁らが新しい説を打ち出して注目を浴びている。すなわち、氷河期に低温のために長い周期で繁殖する種が増えたが、素数でない周期をもつセミ同士は互いに偶然の交雑によって周期性が崩れていくのに対して、13年や17年という繁殖周期をもつセミは他のセミと交雑する可能性が低いので、周期性を確立することができた、というものである。

(垂水雄二 科学ジャーナリスト / 2008年)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「周期ゼミ」の意味・わかりやすい解説

周期ゼミ
しゅうきぜみ
periodical cicadas
[学] Magicicada spp.

昆虫綱半翅(はんし)目同翅亜目セミ科マギキカダ属Magicicada総称。17年または13年周期で発生することからこの名がある。かつては、17年周期で発生するものをとくに「十七年ゼミ」とよんでいたが、13年周期のものも含めてよばれる。6種が知られ、各周期型に3種が知られ、いずれも体は光沢のある黒色翅脈は橙(だいだい)色、体長は20~30ミリメートル。日本には分布せず、おもにアメリカ合衆国の中・東部グレート・プレーンズ)に分布し、発生年の5、6月にはおびただしい数のセミが出現する。

 ある年に発生した集団はきっちり17年後(または13年後)に羽化し、そのため、各種の各年次集団の発生予定年(および予定地)を容易に予想することができる。もっとも普通な種マギキカダ・セプテンデキム(十七年ゼミ)M. septendecimには、14の年次集団が知られ、ほぼ毎年アメリカのどこかで発生がみられる。

[林 正美]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「周期ゼミ」の意味・わかりやすい解説

周期ゼミ
しゅうきゼミ

ジュウシチネンゼミ」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の周期ゼミの言及

【ジュウシチネンゼミ】より

…半翅目セミ科の昆虫。この仲間は17年または13年という周期で出現することから周期ゼミperiodical cicadaとも呼ばれる。13年型,17年型のセミはそれぞれ3種が知られ,本種は後者の中の1種である。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」