周濠(読み)しゅうごう

改訂新版 世界大百科事典 「周濠」の意味・わかりやすい解説

周濠 (しゅうごう)

考古学では普通,古墳の周囲に掘られた堀をさす。湛水しているものが多いが,空濠の場合もある。前者では一般に,濠が畦で区切られ,水面が階段状をなすものから,畦がとれ,水面が同じ高さで一周するものへと変遷したと考えられている。形は墳丘に沿って同じ幅の周濠がめぐるもののほかに,前方後円墳では盾形(馬蹄形も含む),前方後方墳では長方形のものが多い。古墳時代中期には,墳丘の巨大化に伴う外部施設の整備の一環として,著しい発達をとげ,大阪府古市・百舌鳥(もず)古墳群などでは,墳丘との統一企画のもとに,二重,三重の盾形周濠が掘削された。なお,竪穴住居址の壁に沿う浅い溝や,墳墓のまわりの堀でも小規模なものは周溝といい,規模が大きくても集落を取り巻く堀などは環濠と呼び分けることが多い。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android