味酒(読み)ウマサケ

デジタル大辞泉 「味酒」の意味・読み・例文・類語

うま‐さけ【味酒/旨酒】

[名]《「うまざけ」とも》酒の美称。味のよい酒。美酒びしゅ。「勝利の―を汲む」
[枕]神に供える美酒や、それを醸造するかめを「みわ」というところから、「三輪」と、その別名の「三室みむろ」「三諸みもろ」にかかる。
「―三輪の山あをによし奈良の山の山のまにいかくるまで」〈・一七〉

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精選版 日本国語大辞典 「味酒」の意味・読み・例文・類語

うま‐さけ【味酒】

[1] 〘名〙 味の良い酒。上等の酒。美酒。味酒。
書紀(720)顕宗即位前(図書寮本訓)「脚日木(あしひき)の此の傍山(かたやま)に牡鹿(さをしか)の角挙(ささ)げて吾が儛(まは)しめば、旨酒(ムマさけ)、餌香(えか)の市に直(あたひ)以て買はぬ」
[2]
① 味の良い酒である神酒(みわ)というところから「みわ(神酒)」と同音の地名「三輪」や、三輪山と同義の「三諸(みもろ)」「三室(みむろ)」「神名火(かむなび)」にかかる。うまさけを。うまさけの。
※書紀(720)崇神八年一二月・歌謡「宇磨佐開(ウマサケ) 三輪の殿の 朝門(あさと)にも 出でて行かな 三輪の殿門を」
万葉(8C後)七・一〇九四「我が衣色どり染めむ味酒(うまさけ)三室の山は黄葉(もみち)しにけり」
② 上等の酒の産地であった「鈴鹿(すずか)」などにかかる。
皇太神宮儀式帳(804)「汝国名何問賜き。白く味酒(うまさけ)鈴鹿国と白き」

うま‐き【味酒】

〘名〙 香り高い上等な酒。うまさけ。
白羊宮(1906)〈薄田泣菫〉ああ大和にしあらましかば「さながらの八塩折(やしほをり) 美酒(ウマキ)の甕(みか)のまよはしに、さこそは酔はめ」

あじ‐ざけ あぢ‥【味酒】

〘名〙 (上代語「うまさけ(味酒)」を誤読して生じた語) 上等の酒。また、助詞「の」を添えて「みわ」「かみ」「か」などにかかる枕詞の働きをする。
夫木(1310頃)一五「あぢざけの三わのはふりが山照らす秋のもみぢの散らまく惜しも〈長屋王〉」

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