和する(読み)ワスル

デジタル大辞泉 「和する」の意味・読み・例文・類語

わ・する【和する】

[動サ変][文]わ・す[サ変]
親しむ。仲よくする。「夫婦相―・する」
他の人に調子を合わせる。「応援団長の声に―・して声援を送る」
他の詩歌にこたえて、それにふさわしい詩歌を作る。

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精選版 日本国語大辞典 「和する」の意味・読み・例文・類語

わ‐・する【和】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 サ行変 〙
    [ 文語形 ]わ・す 〘 自動詞 サ行変 〙
    1. 天候など、物事の状態がおだやかになる。なごむ。
      1. [初出の実例]「何となく心ちよげなる空を見いだし給ひてわしてまたきよしとずし給うて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)胡蝶)
    2. 仲むつまじくする。仲よくする。親しむ。
      1. [初出の実例]「其時周召共に和して政をするぞ」(出典:足利本論語抄(16C)八佾第三)
    3. 二つの物事が調和して一つになる。
    4. ある音響や調子が他の音響や調子と調和する。調子が合う。
      1. [初出の実例]「一篇の詩を作り、直ちに琴(きん)に和して自づから之を歌ふ」(出典:花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉五)
    5. 他の動作、特にことば、歌、音などに相応じる。答える。調子を合わせる。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
      1. [初出の実例]「車掌の鈴が唱へて、運転手の鈴が和する」(出典:電車の窓(1910)〈森鴎外〉)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 サ行変 〙
    [ 文語形 ]わ・す 〘 他動詞 サ行変 〙
    1. おだやかにさせる。やわらげる。
    2. 仲よくさせる。むつまじくさせる。
    3. 二つの物事を一つに調和させる。また、混ぜ合わせて一つにする。
      1. [初出の実例]「麨(むぎこ)を蘇蜜(そみつ)に和して其御身に塗り」(出典:今昔物語集(1120頃か)三)
      2. 「おそらくはあの哥が盆唄の始だらうテ。夫(それ)をいろいろに和(ワ)したものであらう」(出典:滑稽本浮世風呂(1809‐13)四)
    4. 他の漢詩の韻に合わせて、漢詩を作る。
      1. [初出の実例]「詩みつつくりてたまはせたる中に〈略〉とつくらせ給へりけるとみて、和してたてまつらんとしけるほどに」(出典:今鏡(1170)五)
    5. 外国語表現を日本の表現に改める。日本語に訳す。和訳する。また、訓読する。
      1. [初出の実例]「唐四巻を和しはじめけるも、この師信明の所行とぞうけたまはりし」(出典:文机談(1283頃)二)
    6. ことば、歌、また、音響や調子に他のことば、歌、音響や調子を調和させる。
      1. [初出の実例]「和詩 シヲワスル」(出典:文明本節用集(室町中))

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