咽頭は鼻腔や口腔の奥にある部分で、ここには咽頭
さまざまな咽頭炎がありますが、大きく
急性咽頭炎は、アデノウイルス、コクサッキーウイルスなどのウイルス感染や、A群
慢性咽頭炎は、急性咽頭炎が治りきらなかったり、たばこの煙、お酒などが慢性的に咽頭を刺激したりすることによって起こります。
咽頭特殊感染症は、クラミジア、
急性咽頭炎では咽頭の痛みが急激に現れ、そのほか全身
多くの場合、咽頭は発赤し、症状の経過からも、通常の咽頭炎は比較的簡単に診断されます。
時に、咽頭の発赤とともに小さな水ぶくれや、その破れたような病変がみられることがありますが、これはヘルパンギーナと呼ばれ、コクサッキーウイルスの感染によるものです。咽頭の発赤が著しく、全身症状を伴う場合は溶連菌感染を疑い、分泌物を取って検査します。また、白色の病変や、粘膜のただれたような所見のあることもありますが、この場合には特殊感染症やがんとの鑑別が問題になるため、組織を一部採取して調べることもあります。
よくうがいをして咽頭を清潔に保ち、喫煙、飲酒などもひかえ、刺激を与えないようにします。痛みや発熱に対しては解熱鎮痛剤を用います。抗生剤は、細菌感染が明らかな場合以外には用いる意義は少ないと考えられますが、溶連菌感染の場合には合併症を防止するために、十分に使用する必要があります。
咽頭特殊感染症では、それぞれの原因微生物に対する治療をします。
がまんできる程度の痛みの場合には、うがいなどをして様子をみてもよいと思います。しかし、
咽頭特殊感染症は、一般的な診察や検査では普通の咽頭炎との鑑別が難しいことも少なくありません。咽頭の症状がなかなか改善しない場合には、特殊感染症に対する検査が必要になることもあります。病原体保有者と接触した可能性がある場合には、その旨を医師に伝えておくことも大切です。
一宮 一成
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
咽頭の炎症で、急性と慢性に分けられる。急性咽頭炎は、かぜなどのウイルスや細菌の感染によっておこるものがもっとも多く、ほかに咽頭の外傷、やけど、刺激の強いガスの吸入などによるものもある。症状は一般に突然始まり、発熱は軽度のものから高度のものまで、原因と年齢によって多様である。のどの不快感や痛み、分泌物の増加、全身の違和感や倦怠(けんたい)感などもみられる。症状は乳幼児や高齢者が成人に比べて強く現れることが多い。ときには、あごの下や頸部(けいぶ)のリンパ節が腫(は)れて痛む。咽頭の粘膜は赤くはれ、ときには口蓋垂(こうがいすい)や咽頭側索までも腫れ上がることがある。しかし、このような状態が、しょうこう熱、はしか(麻疹)、インフルエンザなどの急性感染症の初期症状としておこることもあるので、注意する必要がある。治療は、安静を守り、発汗療法が基本となる。細菌の感染には抗生物質を使い、局所治療としてはルゴール液などの塗布、口内錠、吸入療法、うがいなどを行う。
慢性咽頭炎は、急性咽頭炎を繰り返して慢性化したものや、酒やたばこの連用、持続的なほこりや刺激性ガスの吸入、慢性鼻炎や扁桃(へんとう)炎などが原因となっておこる。症状は、のどの不快感、刺激性の咳(せき)、喀痰(かくたん)の増加で、咽頭粘膜が赤く腫れる。ときには粘膜が萎縮(いしゅく)して乾燥し、ねばっこい粘液やかさぶたが付着する。治療は、原因となっている疾患や刺激性物質を除くことが先決で、うがい、吸入療法、口内錠なども行う。
[河村正三]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…子どもの場合,ここにアデノイドがあり,アデノイドが増殖すると耳管を圧迫して狭窄をおこし,難聴の原因となる。また風邪などで鼻炎,扁桃炎に引き続き上咽頭炎をおこすと,炎症が耳管,中耳に波及して中耳炎をおこす。ここにできる腫瘍に上咽頭癌,肉腫などがあるが,中国南東岸一帯,台湾,香港,シンガポールの中国人に多い。…
…ライノウイルスやコロナウイルスによるものが大部分で,鼻汁に触れた手指から伝染することが多い。(2)咽頭炎pharyngitis 鼻症状はそれほどではないが,のどの痛みが強く,発熱も普通感冒よりは強い。悪寒,頭痛などの全身症状がみられることも少なくない。…
※「咽頭炎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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