嗜眠性脳炎(読み)シミンセイノウエン

デジタル大辞泉 「嗜眠性脳炎」の意味・読み・例文・類語

しみんせい‐のうえん〔‐ナウエン〕【×嗜眠性脳炎】

流行性脳炎の一。病原体ウイルスと推定され、高熱四肢不随意運動嗜眠などの症状がある。近年はまれ。報告者の名からエコノモ脳炎ともいう。A型脳炎眠り病

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精選版 日本国語大辞典 「嗜眠性脳炎」の意味・読み・例文・類語

しみんせい‐のうえん‥ナウエン【嗜眠性脳炎】

  1. 〘 名詞 〙 流行性脳炎の一種。病原体はウイルスと考えられるが未確認頭痛四肢痛、摂氏三八度前後の発熱で始まり、さらに眼筋麻痺やぶにらみなどの症状が加わって、数日から一〇日経過し、精神錯乱状態になったり、昏睡状態になったりして死に至る。一九一六~二六年頃世界各地に流行したが現在はほぼ終息

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「嗜眠性脳炎」の意味・わかりやすい解説

嗜眠性脳炎
しみんせいのうえん

流行性脳炎の一種で、近年は欧米でごくまれに報告されるが、ほとんど姿を消した脳炎である。高熱と複雑な脳神経症状がみられ、回復期には嗜眠状態を呈すること、しばしば後遺症としてパーキンソン症候群を残すこと、冬から初春にかけて流行することなどが特徴である。

 第一次世界大戦中の1916~17年にウィーンで流行したとき、オーストリアの神経学者エコノモ命名・報告したので、エコノモ型脳炎ともいわれ、またその後に日本脳炎が明らかにされたため、嗜眠性脳炎をA型脳炎、日本脳炎をB型脳炎とよんで区別した。1925年ごろまで世界各地にかなりみられ、病原体はウイルスと推定されているが、確認はされていない。しかし、現在でもウイルス性疾患と考えられている。

[柳下徳雄]

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百科事典マイペディア 「嗜眠性脳炎」の意味・わかりやすい解説

嗜眠性脳炎【しみんせいのうえん】

嗜眠(意識障害のうち最も強い昏睡(こんすい)に次ぐ状態)を主症状とする脳炎。エコノモ型脳炎とも。第1次大戦後ウィーンに流行し,日本にも一時局地的流行をきたしたが,その後みられない。
→関連項目流行性脳炎

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世界大百科事典(旧版)内の嗜眠性脳炎の言及

【日本脳炎】より

…1871年(明治4)の夏から秋にかけて京都で流行した脳炎が今日の〈日本脳炎〉の正式記録の始まりである。日本脳炎は長い間,他の脳炎,とくに嗜眠性脳炎(エコノモ型,A型,冬季脳炎などとも呼ばれる)と混同されて,いろいろな名称で呼ばれてきた。すなわち,1903年の東京で流行した〈吉原風邪〉に始まり,仮性脳脊髄膜炎,夏季脳炎,B型流行性脳炎,日本流行性脳炎などと呼ばれてきたが,その後に日本脳炎に統一され,54年に法定伝染病に加えられた。…

【脳炎】より

…日本脳炎はカによって伝播されるアルボウイルスによるもので,従来日本で夏季に多発していたが,近年予防接種の普及によりまれなものとなった。エコノモ脳炎は嗜眠性脳炎とも呼ばれるもので,1915‐25年に流行したが,その後ほとんど流行はない。大脳基底核が侵され,後遺症として脳炎後パーキンソニズムがみられる点が特徴的である。…

※「嗜眠性脳炎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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