四つの自由(読み)よっつのじゆう(英語表記)Four Freedoms

精選版 日本国語大辞典 「四つの自由」の意味・読み・例文・類語

よっつ【四つ】 の 自由(じゆう)

(four freedoms の訳語) 言論と意志表明の自由信仰の自由、窮乏からの自由、恐怖からの自由のこと。一九四一年、アメリカ合衆国第三二代大統領フランクリン=ルーズベルトが、年頭教書において強く提唱したもの。民主主義根幹として大西洋憲章一九四一)の中に取り入れられ、連合国の戦争目標となった。のちに国際連合結成の理念ともなった。

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デジタル大辞泉 「四つの自由」の意味・読み・例文・類語

よっつ‐の‐じゆう〔‐ジイウ〕【四つの自由】

米国大統領F=D=ルーズベルトが、1941年の年頭教書で提唱した、言論と意志表明の自由、信仰の自由、欠乏からの自由、恐怖からの自由のこと。民主主義の根幹として、大西洋憲章国連憲章基礎となった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「四つの自由」の意味・わかりやすい解説

四つの自由
よっつのじゆう
Four Freedoms

1941年1月6日アメリカの F.ルーズベルト大統領が一般教書のなかで表明した民主主義の原則で,(1) 表現の自由,(2) 信仰の自由,(3) 欠乏からの自由 (平和的生活を保障する経済上の相互理解) ,(4) 恐怖からの自由 (軍縮による侵略手段の除去) の4つの自由。ニューディール初期のルーズベルトの外交基本方針は,ラテンアメリカ諸国を除いて国外不干渉であったが,37年 10月5日の「隔離演説」 (防疫演説) 以来,ルーズベルトの外交方針は従来の孤立主義から国際紛争に対する積極的介入へと徐々に変化しつつあった。しかし,アメリカ国民の間の根強い孤立主義的な傾向から強い反対が出ることを予想して,ルーズベルトは民主主義の原則を提示しながら連合国援助の必要性を強調した。その結果,41年3月には 70億ドルにのぼる武器貸与法議会で可決された。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「四つの自由」の解説

「四つの自由」(よっつのじゆう)
Four Freedoms

1941年1月アメリカ大統領F.D.ローズヴェルトが議会への教書で述べたもの。彼は四つの基本的な人間的自由,すなわち,(1)言論と意志表明の自由,(2)信教の自由,(3)欠乏からの自由,および(4)(侵略などの)恐怖からの自由,が全世界で実現されることへの希望を表明した。なお,この考えは大西洋憲章にも採り入れられ,日本国憲法にも影響を与えた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「四つの自由」の意味・わかりやすい解説

四つの自由
よっつのじゆう
Four Freedoms

アメリカの第32代大統領F・D・ルーズベルトが、1941年1月6日の年頭教書で述べた内容で、「言論および表現の自由、信仰の自由、欠乏からの自由、恐怖からの自由」のことをいう。これは、将来の世界像の基礎となるべきものとして提示され、年頭教書においては、これらの目的のためにアメリカがファシズム諸国の侵略に対する「民主主義の兵器廠(しょう)」となるべきことが強調された。

[藤本 博]

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世界大百科事典(旧版)内の四つの自由の言及

【第2次世界大戦】より

…ことに40年ドイツが勝利を重ね,日本の動きも活発になるに従い,これらの国々への姿勢も厳しくなっていった。41年1月ローズベルトは年頭教書において,言論・表現の自由,神を敬う自由,欠乏からの自由,恐怖からの自由という〈四つの自由〉を〈戦うに値する事物〉と説くと同時に,デモクラシーの兵器廠となることを宣言した。3月武器援助を可能とする武器貸与法が成立し,イギリスとの協力関係も軍事作戦の面で密接になっていった。…

※「四つの自由」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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