国家主権(読み)こっかしゅけん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国家主権」の意味・わかりやすい解説

国家主権
こっかしゅけん

国家が領域内においてもつ排他的支配権のことであって,単に主権ともいわれるものであるが,主権という用語多義的であるのに伴って,この国家主権も種々に解される。一つは,ある国家が他の国家の権力もとになく対外的に独立しているとき,すなわちその国家が主権国家であるとき,その国家を主権国家たらしめる力をいう場合である。他は,対内的に国家の最高の力としての主権が君主にあるのでもなく,また国民にあるのでもなくて国家そのものにあるとされるとき,それをいう場合である。これは国家法人説にみることができる。なおこの国家法人説における国家主権は,独特の意味内容をもっている。すなわち,この学説君主主権人民主権とを妥協させるため,主権の保持者人格としての国家にあると主張して,国家主権という概念をつくり出したからである。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報