国家電力公司(読み)こっかでんりょくこんす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「国家電力公司」の意味・わかりやすい解説

国家電力公司
こっかでんりょくこんす

中華人民共和国本土の電力事業を管轄していた有限会社。中国における有限会社は、1994年に施行された会社(公司)法では、2~50人の株主(社員)によって設立されるのが原則だが、出資者が国家のみの場合を「国有独資公司」(国有単独出資会社)といい、国家電力公司はこれにあたる。1997年設立。2002年に中国政府により発電事業と送電事業、全7社に分社化された。

 1970年代末からの改革開放政策によって進められてきた国有企業改革は、1990年代に入ると国有企業効率化の観点から、通信、交通、電力、ハイテク産業などの分野で重点的に再編成が行われた。電力分野ではこの国家電力公司が創設され、国有財産の価値の維持・増大を目的として電力事業の一括管理を行うことになった。日本の内閣にあたる国務院が出資し、傘下各省、市、自治区の電力公司などが入っていた。

 1997年時点で、同公司所有の発電機(装備容量)は計5300万キロワット、うち発電量100万キロワットを超える火力発電所は43か所、水力発電所は8か所あった。送電線(220キロボルト以上)は延べ11万6100キロメートル。『中国電力新聞』を発行したほか、科学研究、教育研修も行っていた。1997年末の総資産は7420億元、販売収入は2706億元。

 2002年3月、中国政府は発電事業と送電事業の分離を決定し、同年12月に国家電力公司の送電部門は2社(国家電網公司と中国南方電網有限責任公司)に引き継がれ、発電部門は5社(中国華能集団公司、中国大唐集団公司、中国華電集団公司、中国国電集団公司、中国電力投資集団公司)に分割された。

[上川孝夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

発見学習

発見という行為の習得を目指す学習。または,発見という行為を通じて学習内容を習得することを目指す学習。発見学習への着想は多くの教育理論に認められるが,一般には,ジェローム・S.ブルーナーが『教育の過程』...

発見学習の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android