東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向け、国内外の技術や知見を一元的に集めて廃炉研究に取り組む技術研究組合。英語名称はInternational Research Institute for Nuclear Decommissioningで、略称IRID(アイリッド)。東京電力や関西電力などの電力会社のほか、原発プラントメーカー、日本原子力研究開発機構、産業技術総合研究所などの政府系研究機関、あわせて17企業・機関が参加し、2013年(平成25)8月に発足した。本部を東京都港区新橋に置く。福島第一原発の廃炉作業は世界に類例のないほど技術的に困難なものとされており、溶けた核燃料(デブリ)や使用済み核燃料の取り出し技術、原子炉建屋(たてや)の除染技術、放射性廃棄物の処理・処分方法、遠隔で操作できるロボットの開発などに取り組む。2013年度の研究費は約40億円で、参加企業・機関が研究者、研究費、設備を出し合って共同研究し、人材育成にも力を入れる。海外から3人の顧問を受け入れるほか、アメリカ、フランス、ロシア、ウクライナなどの海外の廃炉機関や規制機関からも専門家を招き、海外の技術や研究成果を幅広く採用する。新技術や研究成果は「東京電力福島第一原子力発電所廃炉対策推進会議」に報告し、政府内の議論を経て、廃炉工程表(ロードマップ)に反映される。政府の工程表では溶けた燃料棒の取り出し開始時期を、福島第一原発1~2号機については2020年度上半期、同3号機は2021年度下半期としている。このため2015年度末までに、福島県楢葉(ならは)町で原子炉の原寸大模型を活用した実証実験に入り、廃炉に向けた実用技術の確立を目ざしている。
[編集部]
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