出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
地球上の岩石や地層がいったん形成されたあとで,移動,回転,変形,破壊などの作用により,もとの姿勢,配列,相対的な位置関係などが変化してできた内部形態の総称。規模の大小を問わず,人が直接観察できる露頭ほどのものから全地球規模の構造まで含まれるが,このうち,たとえば日本列島の構造を総括的に論ずるような場合には地体構造geotectonicsという語も用いられる。地質構造を形成した運動が造構造運動であり,できあがった構造の特徴によって,褶曲運動,断層運動,造山運動,造陸運動,造盆地運動などと呼ばれる。
地質構造は,層状をなす岩石,とくに堆積岩(地層)の中でよく観察される。堆積岩の大部分を占める水成岩はもともとはほぼ水平に堆積した(これを初生水平の法則という)ので,傾いた地層があればそれは造構造運動を受けた証拠である。したがって地層の走向・傾斜を測ることは,地質構造調査の第一歩である。岩石の変形の様式には,連続的なものと不連続的なものがある。前者の典型は地層が波形に変形した褶曲であるが,このほかに撓曲(とうきよく),ドーム,構造盆地などがある。後者の典型は断層であり,このほか節理,へき開などもみられる。これらは地質構造を構成する要素的構造であり,その成因を考えることによって,地質構造を形成した機構や過程を明らかにする手がかりが得られる。要素的構造ではないが,傾斜不整合は上位の地層が堆積する以前に,地層の厚さの広域的変化は地層の堆積中に,それぞれ造構造運動があったことを示す証拠となる。
地質構造は一般に地球内部に働く力が原因となって形成されたものをいう。そのため,地すべりなど重力の作用で地表部分だけが運動した結果できた現象(マス・ムーブメント)は,褶曲や断層を伴っていても地質構造とはいわない。しかし,重力の作用によるものであっても非常に大規模で,地下の深部までを巻き込んで運動した結果できた構造は地質構造である。
執筆者:垣見 俊弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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