増す(読み)マス

デジタル大辞泉 「増す」の意味・読み・例文・類語

ま・す【増す/益す】

[動サ五(四)]
数量程度が大きくなる。⇔減る
㋐多くなる。ふえる。「体重が―・す」
㋑高まる。進む。「秋になると食欲が―・す」「不安が―・す」
㋒(「…にもまして」の形で)あるものよりも、もっと程度が上であることを表す。「前にも―・して元気になる」
数量や程度を大きくする。⇔減らす
㋐加える。また、加えて大きくする。ふやす。「人員を―・す」「紅葉渓谷景観を―・す」
㋑高める。伸ばす。進める。「興味を―・す」「親しみを―・す」
㋒すぐれるようにする。まさらせる。
「待てと言ふに散らでしとまるものならば何を桜に思ひ―・さまし」〈古今・春下〉
[可能]ませる
[用法]ます・ふやす――「権力が増す」「人気が増す」「水かさが増す」のように、「増す」が「が」をともなう場合は、物の量・程度が多くなる意で用いる。◇「速度を増す」「明るさを増す」「人手を増す」と「増す」が「を」をとる場合、物の量・程度を多くする意で用いる。◇「ふやす」は「貯金をふやす」「文庫の本をふやす」のように「を」をとる用法だけで、物の数・量を多くする意に使う。◇類似の語の「ふえる」は、「町の人口がふえた」「体重が五キロふえた」と「が」をともない、具体的な物の数・量が多くなる意に用いる。
[類語]増やす増える溜まる溜める高まる高める

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「増す」の意味・読み・例文・類語

ま・す【増・益】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 サ行五(四) 〙
    1. 数量・程度などが多くなる。増加する。ふえる。
      1. [初出の実例]「うち靡き 床に臥伏(こいふ)し 痛けくの 日に異(け)に麻世(マセ)ば」(出典万葉集(8C後)一七・三九六九)
    2. いっそうすぐれる。まさる。秀でる。
      1. [初出の実例]「小竹(ささ)が葉のさやく霜夜に七重着(か)る衣に麻世(マセ)る子ろが膚はも」(出典:万葉集(8C後)二〇・四四三一)
    3. いっそうはなはだしくなる。より以上となる。
      1. [初出の実例]「ききしよりもまして」(出典:土左日記(935頃)承平五年二月一六日)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 サ行五(四) 〙
    1. 数量・程度などを多くする。ふやす。
      1. [初出の実例]「名利に縈ひ纏ふて、嬾惰を増(マス)」(出典:守護国界主陀羅尼経平安中期点(1000頃)一〇)
      2. 「色をましたる柳、枝を垂れたる花も」(出典:源氏物語(1001‐14頃)胡蝶)
    2. まさるようにする。
      1. [初出の実例]「きんの御琴をいかで人にひきまさんと仰せ」(出典:能因本枕(10C終)二〇)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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