壒囊鈔(読み)あいのうしょう

改訂新版 世界大百科事典 「壒囊鈔」の意味・わかりやすい解説

壒囊鈔 (あいのうしょう)

仏教および世俗に関する故事500余項について学僧行誉の答問したものを集めた考証的随筆書。7巻。古刊本15冊。1446年(文安3)脱稿。よく内典外典を博覧引用してあるが,中世的な付会説が多い。当時の式例,風俗,日用言辞などのいわれや出自を集めたもので,中世知識人の一般的興味のあった題目が豊富に選ばれている。のち《塵袋(ちりぶくろ)》から選択して本書を増益することにより,《塵添(じんてん)壒囊抄》ができた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の壒囊鈔の言及

【百科事典】より

…鎌倉時代中期に作られた《塵袋(ちりぶくろ)》11巻は,和漢の古典や仏教に始まり日常生活にかかわるものまで,620の項目をとりあげ,それらの起源,典拠,語源などを平易な問答体で記述し,24部門にまとめている。室町時代に入ると,前代の人々の知恵袋であった《塵袋》にならって《壒囊鈔(あいのうしよう)》15巻が作られた。この事典は,項目を体系的に配列しておらず,公家・武家の文化,和・漢・仏の典籍に関する知識を混然と集めているところに,室町時代の文化の特色が表れている。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」