変性(医学)(読み)へんせい(英語表記)degeneration

翻訳|degeneration

日本大百科全書(ニッポニカ) 「変性(医学)」の意味・わかりやすい解説

変性(医学)
へんせい
degeneration

生体の機能の減退や異常に基づいて、細胞、組織のなかに、生理的には存在しない異常の物質、あるいは生理的に存在する物質でも、異常の部位に、ないしは異常の量に認められる状態を変性という。細胞や組織が、正常の機能や形態を障害されて生ずる病変群を、病理学的には、いわば受け身の病変ととらえ、退行性病変と一括している。このような病変は細胞や組織の代謝障害によって生ずるものであり、代謝障害ともよばれ、変性のほか萎縮(いしゅく)および壊死(えし)と称せられる病変が含まれる。変性は、その物質の種類によって、タンパク質変性、脂肪変性、グリコーゲン(糖原)変性、カルシウム石灰)変性、結晶体変性、色素変性に分類されている。さらにタンパク質変性は、タンパク質の性状、特徴によって、顆粒(かりゅう)変性、空胞変性、粘液変性、膠様(こうよう)変性、硝子(しょうし)質(ヒアリン)変性、類デンプンアミロイド)変性、類線維素(フィブリノイド)変性、角質変性などに区別されている。変性において認められる物質は、他の部位から体液などによって運ばれ、その組織などに沈着する、あるいは、その部位の成分化学反応などによって異なったものとして現れる、または、分解などによって、これまで認められなかったものが明らかにされるなど、さまざまな機序メカニズム)によって出現するものと考えられている。各種の変性は、病変、病態疾病などに関連するほか、特定の組織、臓器にそれぞれ好んで発生する傾向があるので、疾患本態の解明に有意義な変化とされる。

[渡辺 裕]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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