日本大百科全書(ニッポニカ) 「変質作用」の意味・わかりやすい解説
変質作用
へんしつさよう
広義には、岩石がその生成条件以外の条件の下で、鉱物組成や化学組成を変化させる現象一般をいうが、普通は主として水の作用の下におこる造岩鉱物の加水変質や加水分解で特徴づけられる変化をいう。大きく分けて二つある。一つは熱水変質で、マグマの残液である熱水の効果によって、長石類は絹雲母(きぬうんも)や緑簾(りょくれん)石、曹長(そうちょう)石などに、鉄苦土鉱物は緑泥石やくさび石、方解石などに変化する。もう一つは風化作用に伴うもので、この場合には地表の循環水の影響で、長石類も鉄苦土鉱物も各種の粘土鉱物に変化し、同時に岩石は物理的にも崩壊してゆく。なお、このほかにも、海底で海水と岩石とが反応して、沸石を主とする各種の低温含水鉱物を生ずる変質作用も知られるようになった。
[橋本光男]