外財(読み)げざい

精選版 日本国語大辞典 「外財」の意味・読み・例文・類語

げ‐ざい【外財・外才・解才・下在・下財・外在・外材・芸才】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 中世職人・芸能者などの活動、および細工人などの職人、芸能者をさしていう。
    1. [初出の実例]「追儺。此次内舎人数人被解却。是或死亡之者、或又郎等・外材・細工等之類。凡言語不及之輩等」(出典玉葉和歌集‐文治二年(1186)一二月二九日)
  3. 江戸時代、鉱山の金掘り坑夫。特に佐渡金鉱などで、穴にはいって働く金掘師をいった。〔人倫訓蒙図彙(1690)〕
  4. きこりのために山中に作った小屋。また、そこに住むきこり。
    1. [初出の実例]「信州木曾の山中に外在(ケサイ)かまへ、人数あまたかかえて杣木(そまき)をわらせ」(出典:浮世草子・諸士興廃記(1718)七)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「外財」の意味・わかりやすい解説

外財 (げざい)

仏教語の内財(ないざい)に対する語で,人間の身体の外の財産をさす。平安時代,内財は本来の,自分の身体の肉の意と異なり,〈内財雑物〉〈内財物〉のように,家宅の中の財物の意味で広く用いられている。一方,外財も,〈外材細工等の類〉〈道の細々外才の輩〉〈道々外才人〉〈供御人役は外才に付する課役なり〉などの用例が示すように,外材,外才とも書かれ,道々の細工などの手工業者から,傀儡(くぐつ)のような芸能民を含む〈職人〉にかかわる語として使用された。この場合も,身体の外の財産の意味が転じて,身体の外の働きをさすようになり,おのずと〈才〉〈材〉の字が並用されたのであろう。室町期,内財の語は消えていくが,外財もその意味を忘れ去られ,一部の意義を〈芸才〉に吸収される一方,江戸時代には外在,下財,下在,下細などの文字をあて,もっぱら鉱山の金掘り坑夫など,一部の職人をさす,賤視,卑下の意味をこめた語として用いられた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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