ある生物がほかの生物(宿主)の体表面に付着し、栄養を吸収することをいう。すなわち、寄生の一種で内部寄生に対する語。寄生者は宿主の皮膚、鱗(うろこ)、口腔(こうこう)、鼻腔(びこう)、えらなどに寄生するが、ときには直腸や膀胱(ぼうこう)などに寄生する場合も含む。シラミのように全発育期を宿主上で過ごすもの、ツツガムシのようにある時期のみを過ごすもの、カのように吸血のときにだけ宿主の体表に止まるものなどがある。また、ある種のハエのように宿主の皮膚に潜り込んで寄生するものや、ドブガイのブロキディウム幼生のように宿主の増殖した組織に包まれて寄生するものもある。
寄生されることにより宿主の性形質が変化することがある。カニやヤドカリの雄に同じ甲殻類のフクロムシが寄生すると、この雄はやがて雄の特徴を失って雌化して寄生去勢をおこす。これは寄生によって雄性ホルモンの分泌障害がおこるためである。外部寄生動物には病原体の媒介者となっているものが多い。シラミは発疹(はっしん)チフスを媒介し、ツツガムシはツツガムシ病を、ノミはペストを、ハマダラカはマラリアを、ツェツェバエは睡眠病を、それぞれ媒介する。
[近藤高貴]
… 植物の動物に対する寄生は主として細菌やウイルスで知られるが,魚につくミズカビ,鳥獣の肺につくコウジカビ属の菌,人間につくたむしや水虫などの真菌類の例もある。 動物の動物に対する寄生にはさまざまな方式があり,内部寄生endoparasitismと外部寄生ectoparasitism(ノミ,カ,ダニ,ヒルなど),一生寄生性なものと幼虫のとき(またはその一時期だけ)寄生性なものと成虫のときだけ寄生性なもの,ずっと宿主についているものと栄養をとるときだけ宿主につくもの(カ,ダニ,ヒルなど)というようなものが知られている。 内部寄生をする動物の中には2種以上の異なる宿主を必要とし,手の込んだ生活環を有するものがある。…
※「外部寄生」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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