大仁町(読み)おおひとちよう

日本歴史地名大系 「大仁町」の解説

大仁町
おおひとちよう

面積:四三・五六平方キロ

北伊豆のほぼ中央部に位置し、東は箱根はこねから天城あまぎ山系に連なる山地で熱海市・伊東市と境を接し、西は伊豆長岡いずながおか町と狩野かの川で境し同川の沖積地となっている。南は修善寺しゆぜんじ町・中伊豆なかいず町、北には韮山にらやま町があり、当町と韮山町の東側は箱根山から続く田中たなか山。狩野川沿いに国道一三六号が走り、同川東岸の開析平野と支流深沢ふかざわ川流域に集落が点在する。

町のほぼ中央部、三福みふく地区に存在する仲道なかみちA遺跡からは縄文時代形成期の土器が大量に見つかった。なかでも多縄文系とよばれる土器のバラエティは多い。これらは土器片で一千三〇〇点ほど発見され、その量の多さからも全国的に話題となった。同遺跡からは手焙形土器も一点確認されている。これは県内では希少遺物の一つで、ほかには裾野市・三島市・沼津市・富士川ふじかわ町にそれぞれ一点ずつ確認されているのみである。希少遺物といえばだん遺跡などから発見された翡翠の大珠もその仲間に入る。翡翠の大珠は県下で八点ほど確認されているが、県下の縄文時代遺跡数の〇・二パーセントという少なさである。公蔵免こうぞうめん遺跡では土偶も何点か発見された。狩野川右岸の田京たきようと周囲の地名から、かつて同地に伊豆国府があったとする意見が根強かった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報