出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報
大動脈弁の閉鎖不全により、左心室から上行大動脈に押し出された血液が再び拡張期に左心室に逆流してしまうために、左心室は拡張し、肥大します(遠心性肥大)。
原因としてはリウマチ性、
慢性の場合には、左心室は徐々に拡張しますが、長期間、無症状にとどまります。症状は左心室の機能が低下したり、
急性の場合には、急激な心不全症状が現れます。
聴診(心音図)、心電図、胸部X線検査を行います。心エコー(超音波)検査は最も重要な検査で、正確な診断だけではなく重症度や左心室の機能の評価を行うことができます。
とくに、心エコー検査による左心室内径の経時的変化は、手術をする時期の決定に大変参考になります。心臓カテーテル検査や左心室造影検査、大動脈造影検査が必要になることもあります。
急性の大動脈弁閉鎖不全症では、手術が優先されます。慢性の中等症以下の大動脈弁閉鎖不全症では、定期的な心エコー検査と感染性心内膜炎の予防を行います。慢性重症大動脈弁閉鎖不全症では、大動脈弁狭窄症と同様、いつ手術をすべきかが問題になります。無症状で左心室の機能も正常に保たれている場合には、半年ごとの心エコー検査で経過を観察します。ジギタリス製剤や利尿薬のほかにカルシウム拮抗薬やアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬などを併用することもあります。
症状が現れたり、症状が現れなくても心エコー検査で左心室内径(とくに収縮末期径)が拡張してきたり、左心室の収縮能が低下してきた場合には、外科手術がすすめられます。あまりにも左心室の機能が低下すると、手術の危険性が大きくなるため注意が必要です。
上行大動脈の病気の場合も手術をするかどうかは基本的には弁性の場合と同じですが、大動脈に拡張傾向が認められたり、径が50~55㎜を超える場合には、血液の逆流の程度にかかわらず手術がすすめられます。
手術はほとんどの場合、人工弁による
橋本 裕二
大動脈弁とは、左心室と大動脈の間にある逆流防止弁です。左心室の収縮が終わって血液が大動脈へと送り出されると大動脈弁が閉じられ、押し出された血液は全身へと送り出されます。何らかの原因で大動脈弁の閉鎖が不十分であると、左心室から大動脈へ送り出された血液が心臓の拡張期に再び左心室へと逆流します。全身に一定の血液を送るには、左心室は逆流分だけ多くの仕事をしなければならず、負担が増えます。逆流がさらに高度になると全身への血流量が減り、心不全になります。
大動脈弁の先天的な異常(本来3つある大動脈弁が2つしかないなど)に加え、ファロー四徴症、欠損孔が大動脈弁に接している心室中隔欠損(ちゅうかくけっそん)、マルファン症候群などに合併しやすいことが知られています。またリウマチ熱、
他の心奇形を伴っていない場合は、乳児検診、学校検診などで心雑音で発見される場合がほとんどです。進行すると活動時の息切れや
心雑音で発見されることが多く、X線検査では心拡大、肺うっ血の所見などが認められます。心臓エコー検査では逆流が直接確認されます。また逆流の程度、心拡大の程度などから重症度の判定が可能です。重度な場合、心臓カテーテル検査で逆流の程度、重症度、心機能を評価します。
内科的治療としては、利尿薬、血管拡張薬の投与、水分制限などが行われます。内科的治療でも自覚症状が軽減しない場合や心機能の低下がみられる場合には、外科的治療が行われます。
外科的治療は人工弁
自覚症状が出る時には病状が進行していることが多いので、逆流の悪化や心機能低下がないか、定期的に経過観察することが大切です。また心室中隔欠損に大動脈閉鎖不全が合併した場合は、欠損孔の閉鎖で病状進行の予防が期待できる場合には、欠損閉鎖術が行われます。
星名 哲
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
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