大川内鍋島窯跡(読み)おおかわちなべしまかまあと

国指定史跡ガイド 「大川内鍋島窯跡」の解説

おおかわちなべしまかまあと【大川内鍋島窯跡】


佐賀県伊万里市大川内町にある窯跡。佐賀鍋島藩は、磁器生産を重要な殖産事業として育成し、1670年代に肥前磁器の製作技術の粋を結集して大川内山に御道具山(おどうぐやま)(御用窯)を開設。そこでつくられる焼物(色鍋島・鍋島青磁・鍋島染め付け)は、将軍や諸大名への献上贈答を目的としたことから、市場へ出回ることはなかった。しかし、その造形美は天下名品とされ、美術史的な評価が高く、窯跡は2003年(平成15)に国の史跡に指定された。現在、史跡内には御用窯跡・物原(ものはら)・ボシ小屋跡・御細工場跡(おさいくばあと)・藩役宅跡・陶工屋敷跡群などが広範囲に残っている。窯の規模は水平全長で約137m、焼成室は27~30室と推定され、構造は階段状連房式登り窯。鍋島焼を焼成したのは火の具合が一番よい中央部の3室で、他の焼成室は民窯製品を焼成していたといわれる。この窯跡は、当時の藩窯の制度や工人たちの生活ぶりを知るための貴重な史跡であり、日本の近世陶磁史・窯業史・美術史を研究するうえでもその学術的価値が高いといわれている。JR筑肥線ほか伊万里駅から車で約10分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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