大月(市)(読み)おおつき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「大月(市)」の意味・わかりやすい解説

大月(市)
おおつき

山梨県の東部、郡内(ぐんない)地方にある市。1954年(昭和29)大月町と猿橋(さるはし)、七保(ななほ)の2町および笹子(ささご)、初狩(はつかり)、賑岡(にぎおか)、梁川(やながわ)の4村が合併して市制施行。同年富浜村を編入市域東西に貫くJR中央本線の駅は6駅もあり、旧大月町を除くと大部分は山間農村で占められており、江戸時代には甲州街道宿場であった集落も多い。なかでも桂(かつら)、笹子の2川が合流する段丘上の旧大月町は、甲州街道と富士吉田に通ずる富士道中との分岐点で、古くは富士山に赴く富士講の人々の往来も多い宿場町として栄えた。いまも中央本線と富士急行線の乗換地、中央自動車道の富士吉田線と西宮線との分岐点として富士五湖方面への玄関口となっている。国道は20号と139号が走っている。古くから周辺農村を含めて甲斐絹(かいき)の産地として家内工業が盛んであったが、機業は最近不振で、かわりに精密機械などの部品工場が各所に進出している。また、東京に近いため東京への通勤者も増加している。観光地としては、日本三奇橋の一つに数えられる猿橋(国指定名勝)や、戦国時代城跡でもある岩殿山(いわどのやま)、大菩薩嶺(だいぼさつれい)の南に続く山並みで富士山の撮影地として名高い雁ヶ腹摺山(がんがはらすりやま)や素朴な橋倉鉱泉などがあり、桂川の本・支流アユヤマメ釣場として知られている。面積280.25平方キロメートル、人口2万2512(2020)。

横田忠夫


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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