大気都比売神(読み)おおげつひめのかみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「大気都比売神」の意味・わかりやすい解説

大気都比売神
おおげつひめのかみ

日本神話のなかに出てくる食物をつかさどる女神。素戔嗚尊(すさのおのみこと)がこの女神に食物を求めたとき、鼻や口、尻から食べ物を取り出して料理し、差し出した。そのため尊が怒って女神を殺したところ、女神の頭から蚕(かいこ)、目から稲種、耳から粟(あわ)、鼻から小豆(あずき)、陰部から麦、そして尻からは大豆が生まれた(『古事記』)。五穀起源が語られており、これはハイヌウェレ(死体化生(けしょう))型神話の一種である。なお、粟や麦、小豆などの穀物が生まれたとする基盤には焼き畑耕作があり、この神話は中国南部から伝播(でんぱ)したとも考えられる。『日本書紀』では保食神(うけもちのかみ)の話として扱われている。

[守屋俊彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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